処方の大原則 | we85のブログ

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糖質制限11年目となる歯科医です。歯科界の歪み、私自身の日々などを書いています。ベールに包まれた歯科医師国家試験の現状についても追求。

私自身は薬剤を服用する事ありません。今後も当分ないでしょう。しかし週1回の歯科診療時、患者に対して投薬が必要になる場合が多いです。この時には常に慎重になります。

 

 

 

すべての薬剤は消化管から吸収されます。体内に入ると肝臓で代謝され、腎臓から尿へと排出される。

 

肝代謝型の薬剤にあっては水に溶けにくい性質を持ちます。当然肝機能が低下したヒトには向きません。アセトアミノフェンなんて安全性の高い薬剤とされていますが、肝疾患にヒトへの投与は避けるが無難かな。

 

腎代謝型の薬剤にあっては水に溶けやすい性質を持ちます。肝臓では代謝されずに腎臓で処理されて尿へと排出される。βーラクタム系(ペニシリン、セフェム)やニューキノロン系の抗菌剤が該当します。ですから腎機能が低下しているヒトには他系統の抗菌剤、例えばマクロライド系やテトラサイクリン系を処方するのが無難でしょう。

 

 

薬剤には時間依存性と濃度依存性のモノがあります。時間依存性なら常に血中の薬剤濃度を保つ意味でも1日に何回も投与する。これに対して濃度依存性なら1日1回投与でドーンと血中濃度を高めると効き目が良い。

 

 

βーラクタム系(ペニシリン、セフェム)抗菌剤なら1日3回か4回服用するのに対して、ニューキノロン系が1日1回(か2回)投与する。前者は時間依存性で後者が濃度依存性です。

 

 

 

 

ペニシリンは使いやすい薬剤です。しかしアナフィラキシーが心配ですから、アレルギーが過去に生じたヒトには使えません。ニューキノロン系では広域スペクトル(多くの細菌に有効)を持ちますが、催奇形性があります。他にも多くの抗菌剤では副作用と背中合わせなのです。挙げればキリありません。

 

 

薬剤服用にはメリットが危険性を超えている場合のみ慎重に。というのが大原則。私自身、数年前の頭部外傷処置後、感染予防目的で処方された抗菌剤を2日後に捨てました。

 

 

感染の兆候が無いのに、無理に服用する理由が見当たりませんでしたから。