歯科医の立場から喫煙を考えると真っ先に口腔癌のリスクが浮かびます。実際に口腔癌の患者さんを診た場合、ほとんどすべてが喫煙者なのです。ですから究極の口腔癌予防は禁煙であると言えそうです。もっともベビースモーカーの方がすべて癌になるとは言えません。それだけにタバコと癌に対する疫学にあっては断言が難しいと考えます
重症の歯周疾患の患者にあっては7割が喫煙者というデータがあります。中等度の歯周疾患では5割が喫煙者です。歯周疾患とは直接的な健康被害を感じない病態、つまり糖尿病に似た側面があるように感じます。しかし歯周病が悪化すると糖尿病や動脈硬化の増悪因子(ぞうあくいんし)になるのです。ですから私は糖尿病の患者さんに対し、自ら口腔ケアを指導します。歯周疾患が喫煙によって悪化する事実は広く知られており、私が大学人であった時から様々なペーパーを拝見しております。
喫煙すると口腔内の環境が一気に悪化します。口内炎があったとしても喫煙で免疫能が低下し創傷の治癒が著しく低下します。その結果軽い口内炎でもなかなか治癒しません。そのような症例を随分拝見してきました。ですから歯科医こそ喫煙の重要性を叫ぶ必要があると考えるのです。
私の知人でヘビースモーカーであったが故、40歳で喉頭癌になった方がおられます。現在は自身で吸われないだけでなく副流煙にも気を使われているのです。正しい事を言っても結局は自身で体験しないとタバコは止められないのでしょうかね。先日書いたように、タバコも糖質も依存性物質なのでしょう。