私は入れ歯の調整や歯肉出血、虫歯といった主訴であっても、初診の歯科患者に対して必ず舌の視診を行います、舌だけでなく、口腔粘膜を念入りに診る事にしています。これは口腔癌を見逃さないためです。口腔癌は少なく全部の癌の中の数㌫に過ぎません。ですから改めて、ではなく歯科受診の機会を利用して行うのがよいと考えています。(特に高齢患者を中心に診るから、と言う理由だけでもありません。口腔癌、若いヒトにもあります)
癌や癌と見間違えやすい変化を見つけた場合、必ず歯科衛生士や看護師を呼びます。これは歯科医、歯科衛生士、一般人の3群にわけで口腔癌の写真を見せ続けたところ、正答率が3者に差がなかったというデータがあるからです。つまり、見てわかる口腔癌では知識や経験ではなく如何に多くを見たか、という事が発見につながるのです。
実際に10年前に非常勤で病院歯科に勤務していた時の歯科衛生士に、(そこの病院は時間の余裕があった)徹底して口腔癌の話をし、写真を見せ続けていました。そして今では、お互い職場も変わり年に数回会うのみなのですが、今でもあのときの私の教育が役立っている、と嬉しい事を言ってくれるのです。現在、開業歯科医に勤務されていますが、何度も口腔衛生指導時に、癌を見つけているそうです。(見つけると歯科医を呼ぶそうです。)
もちろん、歯科衛生士に指摘され患者の口腔癌に気づくのは歯科医の恥です。しかし歯にしか関心のない歯科医がほとんどなのです。だからこそ、歯科衛生士や看護師に対する口腔癌の見つけ方を伝えるのも歯科医の役割だと感じています。診断はできなくても疑わしきを歯科医に伝える事はできるわけですから。
口腔癌を見落とす歯科医に抜歯等の観血的処置をされるのは論外であり、口腔癌に気づかず口腔衛生指導をする歯科衛生士は危険です(特に歯肉癌があるのに、器具でスケーリングした場合)