【歯科の話・歯学教育⑤】 | we85のブログ

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糖質制限11年目となる歯科医です。歯科界の歪み、私自身の日々などを書いています。ベールに包まれた歯科医師国家試験の現状についても追求。

6年生の後期からは卒業試験対策講義となります。毎日90分を4コマ講義受けるのです。歯科医師国家試験問題は当時365問。これを2日間かけて受けるのです。そのための対策講義が半年続きます。


国家試験はマークシートなのですが、5つの中で正解が2つあるものもあります。X線やCT,MRIの画像を読影したり、病理組織を診るような問題、又器具や装置を見て回答する問題も出てきます。


単純な問題もあるのですが、知識が逆に邪魔をして解答できないような設問もあります。又分厚い医学書の重箱の隅にあるような内容も出てきます。広範囲な内容を真正面から立ち向かうのには相当無理もありました。


卒業して国家試験を受けるためには、4回の卒業試験の平均が基準点以上でないと留年してしまいます。卒業試験は国家試験よりも難しいです。当時の歯科医師国家試験合格率は9割弱でした(現在は6割程度)しかし国試に合格出来そうない学生は容赦なく留年し卒業できないため、成績不良者には厳しいものがあるのです。



卒業試験対策講義を担当する教授陣の講義内容にも相当ばらつきがありました。ほとんどの先生は熱心でしたが中には自身の担当講座の講義内容ですら、国試問題を正当できない教授もおられました。質問しても頓珍漢な答えか返ってきたりもしました。大学教授は研究者であって教育は二の次ですから仕方ないのかもしれません。


この時期は本当に勉強しました。何度も何度も卒業試験の過去問題を解いて第一回卒試を迎えました。2日間にわたっての試験は無事終了。どうにか4回目まで到達です。問題はだんだん難しくなってきたように思いました。無事すべて終了した時には何とも言えない虚無感に襲われた事を覚えています。


今日、歯科医師過剰問題の影で、歯学教育は異常な厳しさを呈しています。国家試験合格率が6割台であるだけでなく、各大学の進級、卒業は私の頃に比べると考えられない状態です。国家試験そのものが資格試験から選抜試験になってしまいました。つまり私の頃は一定の点数が取れると歯科医になれましたが、今は上位何人と決まっています。しかも基準が非公開なのです。


全国の歯学部の中には、6年間でストレートで歯科医のなる学生が3割以下という大学もあります。中途退学者や留年を繰り返し12年も在籍している学生が現役数を超える大学もあるのです。「入学いても10人に3人にしか歯科医になれない」という事で有名な大学もあります。国試は今後ますます厳しくなる事が予想されます。


卒業すると私は6年間お世話になった大学を去りました。とても長く感じました。出身大学に留まる事など考えられず、すぐに他大学の基礎系講座に入局しました。

(おわり)