「じっと私をみつめて…」
カノジョがそう言うから、みつめた。
白に黒…
「違う。目をみて」
少し茶色がかった瞳をしてる。どうもまだ余韻が邪魔してくる。
白に黒…
「ねぇあたしに言わなきゃいけないことない?」
ちょっと待て。あるにはあるけど、周りに人がいる。伝え方、どうしよっか。目の前のコーヒーの水滴を拭いながらカノジョの向こう側にある壁をぼんやりみてた。
「あるの?ないの?」
「ないないない。ないよ。氷あるうちに飲んだら」
「なんで焦ってんのよ」
あれ?消えた。
「あるの?ないの?」
「ない!」
カノジョの瞳が大きくなった。そこをピークにカノジョの口調はいつものように柔くなった。
「あたしに何か隠し事してるんじゃないかってちょっと不安になったの。友達に聞いたんだけど、男の人は嘘をつく時に目をそらして口数が増えるんだって。女は逆らしいけど」
そうか。それ合ってるな。何故ならば、さっきカノジョに嘘をついたからだ。まぁすぐさま解決はされたけど。
「そう、疑ってごめん」
カノジョは照れてわらった。
あ、解決してなかった。
隠し事があるのは、キミのほうだ。
キミの口が隠してる。歯につまった黒ゴマを。
「安心したなら飲んどきな」
「そうだね」
飲んだのに。
なかなか厄介な隠し事だ。いま問われたら、目をそらしてとても喋ってしまいそうだよ。
「もう一杯たのめば?」