焼いてる間は網に集中。話もあまり入ってこない。あっという間に火が通った肉に手をのばすと、彼女がぽろっと言った。
「本当お肉好きだね」
肉を頬張りながら、その言葉に頷いた。
「ねぇ、牛と馬と羊だったら、どれが好き?」
「豚と鶏は入らないんだ?」
「あえてね」
「…やっぱ牛(ギュウ)だな」
「だよね」
にっこり笑う彼女に俺はホッとした。
肉を食って恍惚の表情を見せる俺に彼女は笑ったのかもしれない。
俺は残りのホルモンを食べている時、アイスを食べていた彼女が恍惚の表情を見せながら問いかけてきた。
「もしね、童話の勇者みたいに動物と一緒に旅をするとして」
「うん」
「牛と馬と羊を連れてるとするじゃない」
「お、また、その3つなんだ?」
「へへ。で、どうしてもどれか1つを売らないといけない状況になったら、どれ手放す?」
「手放すの?」
「うん。売って資金を手にしなきゃいけない、そうなったら…」
各動物ごとに想像したストーリー展開を話し、時間稼ぎをした。何故なら、このパターン…きっと何かある。何かある。彼氏の勘だ。
答えを出す頃には、手をつけていない俺のアイスが6割ぐらい溶けていた。
「アイス溶けてるよ」
「俺こんぐらいが好きだから」
しょうもない嘘をついて、結局は意図を読み取れず消去法で答えを出した。いざとなったら食えるし、乗れるし、と。
「羊で」
その返答に彼女はすぐニカッと笑った。だが、目は笑ってなかった。彼氏だから分かる微々たる違い。
羊が意味するのは、恋人だとな。
やっちまった。大事なところで働かない俺の勘。