TPP、高齢化、補助金の見直しなど環境の激変をうけて、ニッポンの農業は転換期を迎えている。
戦後、政府はコメ価格の下落を防ぐための生産調整として1970年に減反政策を開始した。
国は10a(1,000平方メートル)あたり1万5000円の補助金を支給してきた。
20haの農地でコメを作っている見目さんの例でいうと、年間330万円ほどの補助金を受けている計算になる。
これほどの農地を耕すとなると、コンバインのような高額な農機がどうしても必要になるが、
補助金なしでは正直厳しい、と見目さんは語る。
国は、このほど減反を5年後をめどに廃止、補助金は段階的にやめる方針を示した。
農林水産省で事務次官をつとめた高木氏は「これまでの減反政策は間違いであった。リスクをとらない国が関与することで、
農業経営にとって一番大事な自主的な経営判断を奪った。」と語る。
実際、日本の農業は保護することで弱体化してきた。
耕作放棄地は滋賀県の面積に匹敵する40万haにものぼり、農家の平均年齢は66歳となった。
これから、創意・工夫で自由に経営展開できる方向にもっていかなくてはならない。
このタイミングで安倍政権が農業改革に乗り出すのは、大規模化を進めて競争力をつけたい考えがあるからだ。
今月2日、政府の規制改革会議のメンバーが千葉県柏市のコメ専業農家を視察に訪れた。
マイクロバスで向かった先は、11月だというのに黄金色の稲穂が垂れる田んぼだ。
専業農家の染谷さんは、農業機器を効率よく使うために、収穫時期が違う5品種のコメを栽培している。
10年前にゴルフ場開発がとん挫した荒地を開墾し、いまでは130haもの広大な農地を耕している。
大規模化でコストを抑えることに成功した。
規制改革会議では減反廃止で大規模農家を増やし、競争力をアップさせたい狙いがある。
規制改革会議の民間委員をつとめるニチレイの浦野氏は、次のように語る。
「兼業農家では生産性アップに限界がある。いかに兼業農家に緩やかに農業から退出していただくかが課題。」
大規模専業化はすすめている取り組みを紹介しよう。
新潟県大潟村にある、大潟村あきたこまち生産者協会では120のコメ農家と契約し全国に販売している。
コメ農家からスタートした涌井社長は「農業ははじめから生産・加工・販売がセットだと思っている。」と話す。
コメの販売だけでなく、米粉をつかった麺の加工や、きりたんぽの製造販売など”第6次産業化”を進めている。
現在、従業員は130人に、コメを購入する個人会員は6万人に達した。
涌井社長は「減反廃止は遅すぎた。本当なら、TPP交渉が始まるまえに減反を廃止してどんどん米を生産して
輸出していくという流れをつくっておくべきだった。当たり前のことが今ようやくできるようになった。
農業維新を東北からはじめたい」、と強く意気込みを語った。
11日には農家5社と「東日本コメ産業生産者連合会」を設立する。
効率のよい農機リースや大規模化をすすめ、自由なコメ作りを全国へ普及させる狙いだ。
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