おはようございます。
中村天風著、叡智のひびき(講談社)より。

~他人の気持や言葉又は事件や病いという様なものに心を脅かされたり圧倒されたりしない人は、心身相関の真理を正しく掴んでいる~

心身相関ということは、日常生活で誰しも体験していることです。
しかしこのことは、往々にして等閑視(とうかんし、おろそかにする)されています。

真の幸福は「富」や「地位」では得られません。
それは、一にも二にも、心の力がこれを解決します。
いいかえれば、人生に対する精神態度というものが、人生を幸福にも、不幸にもします。

というのは、この大宇宙の中には、建設の作用を現実化するプラス=積極の気と、破壊の作用を現実化するマイナス=消極の気とが、進化と向上とを現実にする新陳代謝作用を完全にするために、いかなる空間にもくまなく遍満(へんまん)存在しています。
そして、その微妙なる気が、人間の気分=精神態度と、恒に同化的に運行しているという現実があるからです。

この峻厳(しゅんげん、極めてきびしいこと)犯すべからざる大事実を考えたとき。
人生に活きる際の精神態度=心の持ち方が、どんなに切実な消長関係(しょうちょうかんけい、緊密に連係して同じように動く関係)を、全体人生に与えるかということが、極めて明白になるのです。

人として活きるとき、どんな事情があっても、心を積極的にしなければなりません。
憂鬱になったり、悲観したり、心配したりしている人と接しても、同じ気分になりません。
他人の(マイナスの)言葉や行為に自分の心を影響させたり、同化させたりしません。
何かを人に忠告して、その人がそれに応じてくれなくても気分を害しません。
人に親切にして、相手がその親切に感じなくても憤りません。
自分の仕事や、為すことが思い通りにいかなくても、意気消沈しません。

真理というものは、事情に同情はしません。
自己の人生はあくまでも、自分自身がこれを完膚(かんぷ)なきまで護(まも)りぬいていくべきです。
それがすなわち人生の尊厳にして最大なる義務です。
いかなる瞬間にも、心身相関の現実を忘れないこと。
天は自ら助くる者を助く ~Heaven helps those who help themselves.~