おはようございます。
中村天風著、運命を拓く(講談社)より、生命の力 です。

人間として完全に活きるには、心を積極的にしなければなりません。
いかなる場合にも、心を清く、尊く、強く、正しく持たねばなりません。
その積極的な心を作るためには、まず第一に何が必要でしょうか。

あなたは肉体が自分だと思っていませんか。
しかし人間というものは、その正体をつきつめていくと、何も見えない、感じない、霊魂という気です。
その霊魂の活動を表現する道具として、肉体と心が与えられているのです。
これを正しく理解し、応用すれば、その命に、限りない強さと、喜びと、安心と、平和が与えられます。

肉体が生きているのは、霊魂という気の力が肉体を活かしている、というのが本当の悟りです。
霊魂という気から送りこまれる微妙な力が量多くありさえすれば、不健康な状態は直ちに健康状態に回復します。

人間の生命に与えられた活きる力というものは、肉体に在るのではなく、霊魂という気の中にあるのです。
これが最も正当な自己認証です。

病を得ても、消極的な気持ちで肉体を考えないこと。
消極的な心は、肉体が生きる力を受け入れるのを妨げます。
また病のときは、病を忘れる努力もすべきです。
人間の健康も、運命も、心一つの置きどころ次第。
心が積極的に動くのと、消極的に動くのとでは、天地の相違があります。
心の思考が人生を創るのです。

いかなる理由で、心の行なう思い方や考え方が、生命を強くもし弱くもするのかというと、それは精神生命に、命を活かす力となる宇宙エネルギーを受け入れる第一機能があるからです。
この宇宙エネルギーを、哲学では精気、霊気、先天の一気などと言います。
これがこの世の中で、あらゆる気の元であり、この宇宙創造の源の気を、私は仮に「宇宙霊」と呼びます。
この世(現象界)に存在するすべてのものは、みなこの根源的実在物、宇宙霊から生み出されたものです。
宇宙エネルギーは脳から神経系統に受け入れられ、それから肉体に伝えられ、我々が現象界にその命を活かす道具として与えられている肉体を活動させているのです。

一方、人間が生きるためのエネルギー源として、空気、食物、水、土と太陽光線の中の活力があります。
しかし人間は、これだけでは生きていけません。
即ち命の力を豊富に受け入れられる活き方が必要なわけで、そのためにはいかなる場合にも心を積極的に保つことです。
わかりやすくいえば、どんな場合にも、人間というものの生命は、一切の生命をしのいでいる力の結晶だ、と正しく思いこんでしまうことです。
そしてこれを、いかなる場合にも、心にしっかりと堅持することです。

心とは何でしょう。
心というものは、人間の生命の本質であり、絶対に眼に見えない霊魂という気の働きに対する名称です。
気の働きがないかぎり心という現象は生じません。
つまり心というものは、霊魂という気の働きを行なうための存在であり、心が思ったり考えたりすることによって霊魂の活動が表現されます。
そして心の行なう思考は、すべて個人の命の原動力となっている霊魂を通じて、その霊の本源たる「宇宙霊」に通じています。
しかもこの「宇宙霊」は一切の万物を創造するエネルギーの本源です。
この絶対関係を真剣に考えると、思考は人生を創る、と断然結論されます。

宇宙霊の創造作用と人間の思考作用は決して別々のものではなく、本質的に一つのものです。
万物の霊長たる人間は、その心の態度によって、「宇宙霊」がこれに順応して働きだします。
運命や健康も、自己の欲するままに完全に造り得るようになります。
この悟りが身につけば、運命も健康も、何も特別な手段を施すまでもまく、完全になるのが自然の作用であり、宇宙の真理です。
とにかく、人間に生まれてきた本当のありがたさ、これを正しく認識しなければならないのです。
さあ、人生にどんなことがあっても、自分は力の結晶だ、という正しい悟りで、健康や運命上の問題を乗り越えていきましょう。
この悟りが終始心の中に満ち満ちていれば、何もたいした努力をしなくても、いつも元気一杯な状態で人生を活きていくことができます。

今後はこの真理を絶対に貴重な悟りとして、たとえ何が起ころうと、いつも「清く、尊く、強く、正しく」という積極的態度で終始しなければなりません。
そうすれば、自分でも不思議なほど、元気というものが湧き出してきます。
元気という気が出たときに、人間と宇宙霊とが完全に結びついたことになるのです。
事実、元気が出たときには、何ともいえない爽快さを感じるものです。
心の置きどころを常に積極的にするために、「自分は力だ」ということを、断じて忘れてはいけません。

~力の誦句~ 自分が力の結晶であることを忘れないための暗示
私は、力だ。
力の結晶だ。
何ものにも打ち克つ力の結晶だ。
だから何ものにも負けないのだ。
病にも、運命にも、
否、あらゆるすべてのものに打ち克つ力だ。
そうだ!
強い、強い、力の結晶だ。