社会保障にかかる公平な応能負担を目指す改正は無間地獄に陥るものだと思っているので、政府がどんな仕組みを提案してくるのか非常に楽しみにしています。

日経新聞の「政府は株式の配当など金融所得を高齢者の医療費の保険料や窓口負担に反映する方針を固めた。2020年代後半の開始を目指す。」という記事(2025/11/18ほか)は、突っ込みどころ満載です。

1 株式投資の売却益は?
そもそも金融所得の例示として挙げられるのが、なぜ「株式の配当など」なのか。株式投資の利益の大黒柱は売却益です。その売却益を差し置いて、配当とはこれいかに。長期保有の75歳以上安定株主にペナルティを課すのでしょうか?

2 債券の利子は?
配当金「など」の表現から次に連想するのは、債券の利子です。記事では社債のことについて触れていますが、国債・地方債・社債のいずれも個人で保有しているのは圧倒的に高齢者と思われます。

今後もますます増え続ける国債発行を安定的に消化するために、個人向け国債の販売拡大は欠かせません。財務省からすれば、源泉徴収で所得税・住民税は確保できているし、その上保険料も差し引くことを容認するとはとても思えません。

3 日本以外で発生する金融所得は?
いまや株も債券もREITも、そこから派生する金融商品も、日本の物だけに限りません。米国債の利子を算定対象に入れられるのか、日本だけの問題にはとどまらなさそうです。

4 配当金などが100万円あるとして、追加負担はハウマッチ?
記事では、証券会社から提出させる法定調書をもとに新たなデータベースを作り、その情報を市町村に提供して保険料を計算するような仕組みの図になっていました。

データを提供された市町村は、マイナンバーを取得していない国民(特に高齢者)が大勢いるのに、その金融所得がNISAからのものではないとか、この人は健康保険に入っているから追加負担はなしとかいちいち判断するのでしょうか?

NISA枠の1,800万円で4%の配当金を受け取れば72万円。それを上回る配当金を受け取っている高齢者は日本にどのくらいいるでしょう。100万円受け取り、住民税並みの5%負担として5万円。システム構築や人件費かけてこれでペイしますかね?

5 支払った保険料は翌年の確定申告で控除対象になるはず。
社会保険料の支払いは翌年の確定申告で所得から差し引くことができるので、そのこととの整合性はどうでしょう。追加負担があっても、その分純増とはいかないのでは?

記事では「具体的な法制上の措置を2025年度に講じると盛り込んだ。26年の通常国会に関連法の改正案を提出する方針だ。」とありますが、2025年度はあと2か月、どんな仕組みが示されるのか、当面は国の審議会の議事録や資料に注目しようと思います。

 

以上、毎年確定申告して国保料を50万円以上支払っている人間の感想でした。