私が株式投資を始めた30年前には、個別株の売買で儲けられるのは全体の2割程度と言われていました。これが本当にそうなのかを客観的に示すことはできませんが、私はたぶんそのとおりだろうと考えています。

 

株式投資の勝ち方には、勝った人の数だけやり方があります。つまり、自分なりに工夫して試行錯誤した上で自分の失敗から学んだ人は勝てるようになります。そして、私のサラリーマンとしての経験上、仕事のやり方を工夫して失敗から学んで次に活かせることができる人(人事評価でS、Aがつく人)の割合は、だいたい2割くらいです。

 

要はPDCAサイクルを自分で回せる人ということで、これができる人、そしてこれまでの人生において「自分はおおむね運が良かった」と感じている人であれば、株取引でも勝てるでしょう。

 

齢がいくつでも新しいことを始めないことには新しいことは始まらないので、ちょっとずつ手探りでやってみるしかないわけですが、ビギナーズラックという言葉があるくらいなので、最初は誰でもうまくいきます。

 

勝ちが何度か続けば、自分にはこの方面の才能があるのではと思ってしまうくらいです。私もそうでしたが、これならいけると金額を増やしたところでドカーンと来るのが普通で、ここからがやっと本当のスタートです。

 

株式投資は、プロもアマも入り乱れて戦っている実弾射撃の世界です。弾の当たり方がひどければ本当に死にます。弾に当たって痛い思いをした時に、恐怖の感情にかられた時に、あらかじめ他人の話をいくら聞いていてもほとんど役に立ちません。

 

退職金で株取引するなと言われるのは、損したときにそれを取り返す金銭的・時間的な余裕がないというよりも、その人がその失敗を次につなげられる人かどうかわからないからだと思います。

 

また、投資信託の積み立てならPDCAは関係ないのではと思うのも間違いで、いくら優良ファンドでもそれを持ちこたえる力は鍛えて初めて身につくものです。

 

痛い思いを経験して乗り越えて、初めてそれなりの金額を手にできるので、それにはやはり10年単位の時間がかかり、そのころには人生終わってしまいます。「これで儲かった」なんて話をたくさん見聞きすると、人間誘惑には弱いですが、やはり下手に手は出さない方が賢明なのかと思います。