私はレコ芸を中学生から30歳くらいまで毎月のように買っていて、クラシック音楽の聴き方や知識だけでなく、西洋文化の理解そのものをレコ芸から学んだといってもよいくらい熟読していました。

 

その後、音楽を聴く手段の重点がホールでのライブに移るにつれ、むしろ姉妹紙の「音楽の友」の方を読むようになりましたが、特に2012年に評論家の吉田秀和が亡くなり連載が終わってしまったことが決定的でした。紙媒体での発行が2023年7月号をもって休刊になると聞いても、来るべき時が来たなというくらいの感じでした。

 

クラシック音楽の批評ではイギリスの「Gramophone」が老舗で、紙媒体だけでなくオンラインでのサブスクにも力を入れており、今も健在です。私も英語の勉強を兼ねて定期購読していた時期があり、なんでレコ芸はそうしないのかと思ってもいました。

 

そこに、レコ芸をONLINE版で復活させたいので、クラウドファンディングを実施するという話が来ました。募集期限までに目標金額1,500万円の113%が集まり、プロジェクトはめでたく実施されることになりましたが、応募したのは私を含めたったの839人!2千人くらいはいてもよさそうなのに、復活が決まったといってもこれでは先行きが厳しそうです。

 

クラシックはレコードやCDなどのパッケージ商品の需要は今でも(おそらくこれからも)根強くあるので、新譜の紹介・批評も必要とされるはずです。クラシックの面白さ自体は昔も今も不変だと思うので、「古き良き時代をもう一度」とは異なるコンセプトがなければ、今の人の心には刺さらないでしょう。

 

私も面白ければ付き合いますが、つまらなければそれまでです。まずはどんなものが出てくるのか、楽しみに待ちたいと思います。