第一の目的はメニコンシアターAoiでのライナー・ホーネックと菊池洋子のコンサートで、どうせ名古屋に行くならついでに国宝犬山城にも行くか、犬山まで行くならついでに小牧で途中下車してメナード美術館にも寄ってみるかくらいの気持ちでした。ところがこのメナード美術館がすばらしかった!

 

名鉄小牧駅から徒歩13分くらいの幹線沿いにあり、敷地はそれほど広くありません。3月31日までは「歳時記~花ひらく春」と題し、新春から夏が近づく春の終わりまでを日本画を中心とした作品約50点で紹介するとともに、「小さな作品たち」という特集展示と、西洋絵画名作選の3本柱で構成されていました。

 

一番インパクトがあったのは、展示室5にあったジェームズ・アンソールの「仮面の中の自画像」です。画面を埋め尽くす無表情な仮面と骸骨、その中で人間らしい表情をしているのは真ん中にいる自分だけ。現代人なら誰しもこういう強烈な疎外感を持っているのではないでしょうか。アンソールについてもっと知りたくなりました。

 

イヴ・タンギーの「数の忘却」やモネの「チャリングクロス橋」もよかったし、有元利夫の作品も久しぶりに見たし、前田青邨の「紅白梅」などの季節ものも楽しめて、あっというまの2時間でした。

 

しかも、ここで展示しているすべての作品が自前の収蔵品というのがすごい。目録を見るとアンリ・ルソーの絵もあって、ルソーがあるなら常設展示してよと思いますが、なにせ展示室が1階の5つしかないので、これだけの量をとても公開しきれません。ちょっともったいなさすぎませんか。3か月ごとにテーマに合わせて展示替えをしているようなので、今後はこのために時間を作って行きたいです。

 

俗に「薬、九層倍」と言いますが、化粧品はいったん市民権を得るところまで浸透すればたぶん九層倍どころではない利益があるんだなと思いました。

 

犬山城はともかく風が冷たかった。コンサートはウィーン・フィルのコンサートマスターが出演してもこの入りかというくらい空席が多くて気の毒。ホールはまだ新築のにおいがしてました。自主事業の内容を見ても音楽よりも演劇に力を入れているようです。