今年最も楽しみにしていた演奏会の一つを聴きに、すみだトリフォニーホールへ行ってきました。

 

井上道義は今年12月末で引退を表明しています。この数年は演奏の説得力が格段に増し、指揮者として晩年の至芸を聴かせるようになってきています。「この体の動きなら、あと数年はいけるのに」と思うものの、引き際の見事さも実に鮮やかでさすがです。

 

マーラーの3番は前回2019/12/6に井上道義が読売日本交響楽団を指揮した演奏が実に素晴らしかったので、あの時の気持ちをもう一度と思って出かけたのですが、残念ながらそうはいきませんでした。正直言って、自分がよく知っている曲をもう一回聴いたな程度の感想です。何よりオーケストラの力量が違い過ぎて、あの感動的な第6楽章がちっとも心に迫ってきません。

 

読響はあまり自分と相性のいいオケではないと感じていたのですが、それでもたまに聴くとそのたびに力のあるオケだなと感心します。対して新日本フィルは、小澤征爾のオケとして長年親しんできたにもかかわらず、小澤が指揮していた頃から「小澤が指揮してもちっともうまくならないのはなぜだ」と思っていました。

 

新日は個々にはいいプレーヤーも大勢いるのですが、どうにもオケとしての合奏力というか、まとまって一つの響きを出す時の充実度が薄いように感じます。

 

それでもアルミンクが指揮していた頃はプログラムが気に入って定期会員になっていたのですが、ハーディングはさっぱり、上岡も中途半端に終わってしまいました。佐渡がどこまで立て直せるかと期待してはいるんですが。

 

読響は先週聴いた「タンホイザー」の演奏がすばらしかったんですよ。東京文化会館のピットから、これほど幅と厚みと深さと広がりのある音楽を聴いたことがあったかと思うくらい。

 

井上道義の現役最後のコンサートは2024/12/30。サントリーホールで読響を指揮してベートーヴェンの6番と5番、ショスタコーヴィチの祝典序曲に決まったようです。絶対チケット取ります!