昨年東京都美術館で見たエゴン・シーレ展で最も気に入った絵の一つが、『カール・グリュンヴァルトの肖像』でした。この絵には豊田市美術館蔵と説明があり、こんないい絵を常設展示しているなら一度行ってみたいと思っていました。

 

今回、21日にイーヴォ・ポゴレリチの演奏会が豊田市コンサートホールであったので、初めて豊田市まで行ってきました。知立で乗り換えた名鉄三河線は単線で15分に1本と、トヨタの本社がある街へ行くには質素だなと思いましたが、社員は車利用なので電車は関係ないのでしょう。(トヨタの本社は愛知環状鉄道の三河豊田駅の目の前です。)

 

豊田市美術館は豊田市駅から徒歩圏内で、高台に建っているので登っていくとひと汗かきます。私は駅から最短距離で行ったので裏側から入る格好になってしまいましたが、正面から見ると建物・庭園は実に見事に配置されていて、オープンから28年経っているのに全く古びた感じはしません。建物は建築家谷口吉生の最高傑作と言われているものだそうです。

 

企画展と常設展が各フロアの展示室ごとに配置されているので、その都度入場券を見せる必要があります。お目当てのシーレは2階の展示室5にありました。シーレがこの絵を描いたのは27歳で、まさにこれからというときに翌年スペイン風邪で亡くなってしまいました。何とももったいないですね。

 

この展示室5にはクリムトの『オイゲニア・プリマフェージの肖像』(原田マハの本の表紙にもなっている)もあり、ここのコレクションの飛車・角といった感じで見ごたえあります。

 

1階の展示室6と7には地元の画家、3階の展示室2~4には現代美術の作品が展示してありました。

 

これまではコンサートにしても展覧会にしてもまずは東京が第一選択肢でしたが、こうやって地方都市でのコンサートと美術館を組み合わせて初めての街へ出かけて見聞を広めるのも実に楽しいので、今後はそういう機会も増やしていきたいです。