今年の目標の一つの大阪の国立文楽劇場へ行って、新春公演の第一部を見てきました。
最初の『寿式三番叟』は、新春のおめでたい雰囲気が感じられればいいくらいでしたが、次の『摂州合邦辻』(せっしゅうがっぽうがつじ)の「合邦庵室の段」がもう圧倒的でした。
『摂州合邦辻』は、1773年に大坂で初演された人形浄瑠璃及び歌舞伎の時代物で、菅専助と若竹笛躬(ふえみ)の合作。古くからの「しんとく丸伝説」を元に、継母の玉手御前が義理の息子・俊徳丸の命を守るため、自ら悪女の汚名を着て命をかける姿を描いた、義理と愛憎の物語です。
私は歌舞伎でも義太夫狂言が好きで、文楽でも人形遣いよりも、太棹三味線の豪快な音に乗せて人物の心情を劇的に語る太夫が一番の聞きものだと思っていました。
全体を3組の太夫&太棹で分担していて、その3組目、ドラマの一番のヤマ場を担当した豊竹若太夫と鶴澤清介のコンビがすばらしい!
国立文楽劇場では字幕が舞台上部に表示されるので、初めはチラチラそれを見ながら話しの進行を理解していました。
ところがそのうち人形と語り及び音楽が一体化してきて、字幕を見ることはどうでもよくなり、もちろん聞き取れない言葉もたくさんありますが、なんだかわからないながらも、どんどん舞台に惹きつけられていきます。
一体の人形を3人で動かしていますが、それすら気にならなくなってしまい、役者が演じる歌舞伎だとより生々しい感じがするところでも、むしろ表情のない人形の方が中性的な分、ドラマの核心に迫れるようにすら思いました。
文楽、もっと早いうちに、東京の国立劇場でやっているときに見ておけばよかったですね。機会はあったのに、もったいなかった。
義太夫狂言の三大傑作の『仮名手本忠臣蔵』『菅原伝授手習鑑』『義経千本桜』は、何とか一度は文楽の公演で見たいものです。
Wikiの「俊徳丸」の項目を読むと、昔見た蜷川幸雄演出の『身毒丸』についても触れられていて、これも合邦と同じルーツを持つ話なのかと、自分の中で点と点がつながった感じでそれも一興でした。