4月からひとり弟子をとりました。
以前から弟子入りの話は幾つかあったのですが、都度「和蔵」は弟子をとりませんと、
丁重にお断りをしてきたのですが、今回は特例中の特例です。

今井将也君と云って、3月に高校を卒業したばかりの若者です。
高校の3年間はバレーボールに打ち込み、京都の街で過ごしたのだとか。
純粋無垢の素直な男の子。変に擦れたり、世間慣れしていないところに好感が持てます。

実家のある長岡から電車で通い、年中無休の和蔵に倣い、彼もまた一日たりとも休まず。
500gから始めた蕎麦打ちも、この3カ月の時を経て、現在は1700gを打ちます。
来月までに2kgの外二八を終わらせ、秋からはいよいよ十割に挑戦です。

近い将来、長岡に店を構えると云う大目標があり、和蔵はそのために必要な事全てを
体得してもらう為の修業の場です。蕎麦打ちは当然のこと、朝の掃除から始まり終いの
段取り、明日以降の準備予定まで蕎麦屋の日常を叩き込んでいるつもりです。

現実的には、清掃、立居振舞いなどホール(接客)全般は、楓子が指導にあたります。
天麩羅の師匠もまた、楓子です。傍から見ていて、この先生の指導は厳しいですね。
18歳と19歳と云う、ひとつ違いのこの師弟関係は、微笑ましい和みの風景です。

私は専ら、蕎麦に関するいろんな事を、時々脱線しながら伝えます。
上手くなることは大事だけれど、蕎麦馬鹿になって欲しくはありませんので、児島鐵兵を
曝け出して、様々な物事を見たり聞いたり感じたりと、要は勝手にやっているのです。

同じ材料、道具を使っても、百人いれば百の違った蕎麦が出来上がるんですよね。
「蕎麦を打つ 心打ちつつ 明石庵」
若気の至り、もう昔に、新潟にある蕎麦屋のオヤジさんに惚込んで送った言葉です。