富山駅を発車する富山ライトレールの終点は岩瀬浜です。延長は7.6㎞。誕生してからまだ1年余りしかたっていませんが、全国でも成功例と注目されています。
もともと富山港線と呼ばれたJRが走っていたのですが、不採算路線として運行が危ぶまれていました。それを第三セクターで引き継いだのですが、運行にあたり大きな発想の転換がありました。
鉄路のほとんどはそのまま利用したのですが、途中から路面電車として道路に乗り入れさせ、富山駅に隣接して新駅までつくりました。全国で路面電車が廃止されているなかで、新設されたのは何十年ぶりだそうです。JR時代はだんだん本数も少なくなっていたのですが、ライトレールはおおよそ15分間隔と、ぐ~んと使い勝手がよくなりました。
おしゃれなポートラムも人気で、毎日通勤時間帯ばかりでなく、日中も利用者が増えています。さまざまなグッズ販売も好調で、初年度から黒字になったと報道されています。
その岩瀬が別の意味でも、いま注目されてるんですよ。ライトレールの最寄り駅でいうと東岩瀬。その周辺は江戸時代から明治時代にかけ大阪から北海道までを航海した北前船の基地として繁栄したところです。しかし近年はその面影はありませんでした。
ところが、地元の造り酒屋の若旦那らが中心となって実験的ともいえる町づくりに取り組むと、ライトレール効果とも相まって、たくさんの人が訪れるようになったのです。まず最初に空き家になっていた蔵を改造して、そば屋さんを誘致しました。これが手打ちでおいし~いのです!
いまではそば屋も2軒になり、ガラス作家の工房ができ、陶芸家が焼き物を焼き、漆工芸家や家具職人の工房もできるとか。そしてこうした人たちのために家屋を改造する職人集団も誕生しています。
どうして町づくりと取り組んだのか?という質問に、造り酒屋の若旦那は「都会から嫁いできた妻に、いいところに嫁にきたと思ってもらいたかったから」ときっぱり。ああ~なんと幸せな奥さま。うらやましい、いい話です。
でも、最近は観光バスなどでどっと人が入ってきて、いわゆる観光化されている現状があり、また新たな問題なようですが・・・。「岩瀬で日本酒を飲んでそばを食べ、ガラスや陶芸家のファンになってほしいんです。来る人たちも一緒に町をつくるんだと思います」
ユニークな町づくりに熱いエールを送りたいと思います。
富山ライトレール
