こちら黒部は春うららかな日は数えるほどしかなく、気が滅入るようなサム~イ陽気です。球根を取るための色とりどりのチューリップ畑に心を癒されています。
以前に地元のテレビ局の依頼で「春の花を食べる」というテーマで、チューリップを食したことが思い出されます。色の濃い紫や赤よりも白やピンクの花びらが美味しいんです。さっと酢水でゆで、和え物やデザートにとてもきれい。
何といっても花の中で一番美味しいのはスミレで、「姿よし味よし」と昔から言われてきました。
成分の吉草酸により鎮静作用や血液をさらさらにする効果があります。コブシはあまり美味しくはないのですが、生薬名を辛夷といい、花粉症や鼻炎、鎮痛作用で重用されています。
熊が好物ですが、花芽を食べると肉が臭くなるそうで、だから、コブシを食べる前に仕留めるのだと、熊撃ちの人から聞いたことがあります。そのほか、タンポポ(生薬名・蒲公英)、キンモクセイも胃腸を整えますのでおすすめです。
春の花を食卓へいかがですか。
三重県湯の山温泉の麓に建つ「和悠膳(なごみゆうぜん)」のホテルをプロデュースしていますが、いよいよ器選びや、調理長たちへの薬膳講習に入りました。
箸置きはオリジナルの手作りにしたいと、4月上旬に好きな織部の里多治見へ行ってきました。
今年は寒さが続いているせいか、途中の五箇山や白川郷の合掌造りの屋根はまだすっぽりと雪に覆われていました。
その景色は、まさに絵葉書のような美しい世界でした。
多治見ではいい器の問屋さんとの出会いがあり、快く箸置きの製作を引き受けていただきました。
ホテルでは、器の出し方もサプライズがありますので、皆さま、乞うご期待を!
4月中旬には、日下(くさか)調理長と西川調理長補佐が黒部へ薬膳研修に見えました。
二人とも36歳という若さで、背も高くイケメン。
板倉が張り切らないわけがありません。
熱意(?)が伝わったのか、今まで抱いていた薬膳のイメージと違い、食べ物に性質があることや、ただ薬膳食材を入れれば薬膳料理になるのではないということがよく分かりましたといううれしい感想。
1日に2回ずつというハードな講習で足腰が痛かったのですが、二人のその言葉でいっぺんに治りましたよ。
ただ、上からの指示で薬膳を作るのと、良いと信じて作るのでは味がぜんぜん違ってきますもの。
お客さまの健康を願って懸命に作った料理で癒されて美味しいと言っていただけるとしたら、こんなうれしいことはなく、料理人冥利につきます。5月ゴールデンウイークも調理実習ですので、今度はカラダの声を聞きつつ張り切ります。
薬膳懐石も乞うご期待をば!!