日本で初めてとなる名古屋三越デパ地下での薬膳お惣菜販売が、お蔭さまで2月6日まで延長され好評に終わり、ほっとしています。
うれしいことにNHK名古屋の夕方の情報番組「ほっとイブニング」に薬膳やデパ地下のお惣菜のことなどで22分生出演させていただき、インタビューを受けました。他に薬膳の料理3品をご紹介したこともあり、あっという間に終わりました。こんなふうに言えばよかったと反省ばかりですが、確実に薬膳が広まっているのを実感しました。
若い世代の料理離れが進んでいるといわれますが、何とりんごなど果物の皮をむくのが面倒くさいという新聞記事にはショックを受けました。食後みかんを食べながらの一家団欒は昔話になるかもしれないのです。
みかんは皮つきだから買わないのです。で、カットフルーツや果物入りゼリーは売れているとか。
当然子供たちは食べ慣れない果物が給食に出てきたら、残して食べないことになります。果物の皮さえむかない人が料理は? と考えただけでも暗澹たる思いに駆られます。
今経済状態は2極化がいわれていますが、“食“も健康を考え有機栽培の野菜や薬膳を食卓に取り入れる層と、ただお腹が満たされればよいとエサ式ファーストフード層とに分れているように思います。
持ち帰り弁当チェーン会社のオリジン株を買収したいドン・キホーテとイオンによるTOB問題が新聞紙上を賑わしていますが、これもこれからますます進むお惣菜ファーストフード化の増益を睨んでのことなのでしょうか。
手作り料理の“匂い”こそが家庭の味として脳に記憶され情緒が育つのに、日本料理の文化はこれからどうなるのかと危機を感じます。
そんなとき、お茶の水女子大教授で数学者の藤原正彦さんが書かれた「国家の品格」を読み、感動でカラダが震えました。
『国際化という名のアメリカ化に踊らされてきた日本人は、世界で唯一の誇るべき「情緒と形の文明」を長らく忘れてきた。
「論理」と「合理性」頼みの「改革」では、社会の荒廃を食い止めることはできない。
いま日本に必要なのは、論理より情緒、英語よりも国語。現在進行中のグローバル化とは、世界を均質にするものです。
経済に発したグローバリズムは、広く社会、文化、教育を腐食させるのです。
日本は「国家の品格」を取り戻し世界に範をたれることこそが、日本の果たしうる人類への世界史的貢献と思うのです』などなど。
いろいろな角度から書かれていてとても面白く、例えばなぜインドのソフトウエア技術者が世界で注目を浴びているかといえば、家で小さい頃からパソコンに親しんでいるからではない。
小学校でかけ算を「19×19」まで暗唱させていて、また中学・高校で教えている数学も日本よりも1、2年早いという話など、目からうろこの連続でした。まだお読みでない方はぜひお薦めの本です。
恥ずかしながらこの年になって初めて日本人に生まれたことに誇りを持ちました。
料理を作る心の品格を忘れず、これからも勇気と信念を持って日本型薬膳を広めていきますので熱い応援をお願いします。