先物・オプション取引を行う際には証拠金という担保や保証金のようなものが必要です
証拠金制度
=取引参加者の契約不履行により他の取引参加者が損害を被らないようにするため
取引を行った日の翌営業日に証拠金を差し入れる制度
値洗い制度
=取引において評価損益が発生した日の翌営業日に
損益の受払いを行う制度
証拠金所要額
=ポートフォリオ全体の建玉について必要とされる金額
SPANシステムによる基準額をベースに各証券会社で設定される。
証拠金所要額の計算
=SPAN証拠金額-ネット・オプション価値の総額
SPANシステム(The Standard Portfolio Analysis of Risk)
=先物・オプション取引のポートフォリオ全体の建玉から
将来発生するおそれのあるリスクをシミュレートして出す
※ポートフォリオ全体が有する価格変動リスクを考慮するため
ポートフォリオ内でリスクの相殺が可能
但し、異なる取引所間の相殺は不可
SPAN証拠金額の出し方
①商品グループの分別
ポートフォリオ内の同一原資産の商品を同一グループにまとめる。
②グループごとのリスク額算出
銘柄ごとに、相場変動についてのリスクシナリオをもとに16通りの損益を算出し合計する。
最大の損失額が商品グループ全体のリスク額(スキャンリスク)となる。
③グループごとの限月間スプレッド割増額の算出
異なる限月間で両建てとなっている部分に限月間割増料率を乗じる。
④グループリスク額の算出
=②スキャンリスク額+③商品グループごとのげんげつ間スプレッド割増額
⑤商品間割引額の算出
グループ間の価格変動に強い相関関係がある場合は、
グループ間でリスク相殺部分を計算して商品グループリスク額から差し引く
⑥売オプション最低証拠金額の算出
オプション売建玉のリスクをカバーするため、1単位あたりの最低証拠金額を設定
⑦SPAN証拠金額の決定
各商品グループについて
グループリスク額-商品間割引額と売オプション最低証拠金額を比較し
大きいほうがグループごとのSPAN証拠金額となる。
グループごとのSPAN証拠金額を合算したものが全体の証拠金額となる。
ネット・オプション価値の総額
=買オプション価値の総額-売オプション価値の総額
買オプション価値=各オプション取引銘柄の買超権玉×当該銘柄の清算値段×取引単位
売オプション価値=各オプション取引銘柄の売超権玉×当該銘柄の清算値段×取引単位
顧客と証券会社間の規則
①受入証拠金総額が証拠金必要額を下回っている場合
顧客は過不足が生じた日の翌営業日の指定時刻までに
不足額を追加保証金として現金又は有価証券で差し入れなければならない。
※非居住者は翌々営業日まで可
※所定の時限までに履行されない場合は通知や催告を行わず、
取引所の清算機関、証券会社の判断で当該金銭を債務の弁済に使われる。
②受入証拠金総額が証拠金必要額を上回っている場合
顧客は、剰余分を引出し可能
③受入金銭の額が現金支払予定額を下回った場合
顧客は不足分を現金で差し入れなければならない。
※現金支払分=先物取引・オプション取引などの未決済の計算上の決済損益額
証券会社と取引所間の規則
東京証券取引所における先物・オプション取引に係る証拠金の受払いは
証券会社と日本証券クリアリング機構の間で行われる。
①すべての先物取引の未決済建玉について日々値洗いが行われ差金が授受される。
②証券会社は証拠金所要額を自己分と委託分に分けて、クリアリング機構に預託
③受払いは過不足が生じた日の翌営業日までに行われる。
代用有価証券の種類と現金換算率
①国債証券 95%
②政府保証債 90%
③地方債証券 85%
④国内証券取引所上場会社の新株予約権付社債 80%
⑤国内証券取引所上場株券 70%
⑥公社債投資信託の受益証券 70%