作戦会議 | わヘログ

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わへいのわへいによるわへいのための記録(ログ)

美味しくもないのになんとなくバーに行く度に必ずウイスキーを頼むようになってから1ヶ月ほど経過したとき、少しだけ変化が出始めた。

相変わらず味はあまり美味しくはないのだが、落ち着いた雰囲気のバーで強めのアルコールを入れることでなんだか以前より気分が落ち着くようになってきた。

ミックスナッツをかじってほんの少しのウイスキーをぐっと飲んでチェイサーの水を一口飲むと今日も一日頑張ったなと思えるような気がした。

美味しくはないけど落ち着く。

今までお酒を飲んでいて経験したことがない感覚だ。
サウナでいうところの“ととのう”に近い感覚かもしれない。

この感覚をしっかりと自覚してからいろんな変化が起き始めた。

まず一軒目からバーに行くようになった。

今までは何軒か居酒屋に行ってから〆にバーという流れが多かったのに、あの感覚を少しでも早く感じたくて最初からバーに行くことが増えてきた。

そして二つ目は一杯目からウイスキーを頼むことが増えてきた。

今まではウイスキーを飲む前に何かしら他のお酒を飲んでから挑むことが多かったけど、ここ最近は作戦会議後に一杯目からウイスキーを飲むようになった。

先輩に教えてもらった函館のバーに完全にハマった僕は店員さんともすっかり顔馴染みになり、一人で足を運ぶことも少なくなかったのでバーカウンターに席を通してもらうことが多かった。

席に着くとまず作戦会議が始まる。

議題はいつも同じで
「今日はなんのウイスキーにするか」

ウイスキーの知識がゼロの僕にいろんなヒアリングをしてくれてなんとなく僕が飲めそうなウイスキーをピックアップしてくださり、それぞれの違いを丁寧に教えてくれることが多かった。

どんなウイスキーと出会えるのかも楽しみだったし、何よりこんな僕のために親身にヒアリングをして少しだけも僕が飲みやすいウイスキーを一緒に考え提案してくれるのが素直に嬉しかった。

いつからかウイスキーを頼むことに意味が増えた。

ウイスキーは作戦会議を通じて店員さんと僕の間の言語になり、バタバタして疲れた頭と体をホッとさせてくれる存在になった。

これまでは少し背伸びをして我慢をしながら飲んでいたウイスキーのことが少しだけ好きになり始めていた。

店員さんにいろんな知識を教えてもらいながら飲み方やおつまみも変えるようになった。

ウイスキーによって適した飲み方があることを知ってからはストレートやロックなんかも取り入れながら飲むようになった。

飲み方によって風味の香り方や口当たりが違う。

この変化を自分の口で感じることができるのが楽しかった。

ちょっと前のハイボールの匂いで気持ち悪くなっていた頃からは想像もできない変化だと思う。

店員さんおすすめのウイスキーに合うおつまみナッツ、チョコ、燻製したチーズやジャーキーなんかを出してもらいながらウイスキーの持っているポテンシャルを最大限に発揮できるようにあの手この手を尽くしてもらった。

バーに行く度に「今日はどんなウイスキーと出会えるのだろう」とウキウキしていた。

作戦会議では検討事項が増え、どんな飲み方でどんなつまみと一緒に飲むかも話し合うようになった。

会議の後にあの手この手を試すのが実験をしているみたいでとても楽しかった。

そういえばすっかり忘れていたけど、僕はウイスキーが苦手だった。

ちょっと前までは苦手なものを克服するように飲んでいたけど、今ではどうやったらもっと美味しく飲めるか楽しんで飲んでいる。

お店に通い始めてから約3ヶ月経った頃どうやら僕はウイスキーにハマった。

完全にハマった。

全てはあの店員さんのせいだ。

🦈わへを🦈