父は食事前からムシの居所が悪いのか父がイライラしていた。
食事が済むなり父は席を立ちいなくなったので
母にそれを尋ねるとなにやら小言を言っていた。
一通り聞いたのだが、収まりがつかないらしく車で出かけて行った。
二時間ほど経つと買い物袋を手に戻ってきた母は
茶の間の机に 男性用ヘアトニックだかリキッドと食後のコーヒーの菓子パンを置いて
洗い物を始めた。
私は父を呼びお礼をいうように促すと目をやるなり
「これはあるんだ! なんでこんなもの買ってくるんだ!」
と薄毛を気にし始めている父はお好みの物ではなかったらしく
そのヘアトニックだかリキッドを持ってどなった。
「良かれと思って買ってきとるんじゃけ~怒るなや~」
と諭すも、抜いた刀の収まり方を見失ったのか
9時そこらで床についた。
その後、茶の間でいつものように母は物書きや家事をしているのだけれど
流れるテレビ番組の音声に反応し
映し出されている人気のステーキ屋さんのお店の情報を広告の裏にメモしている。
私はすぐに二月に従姉妹の結婚式の際父を連れて行ってやりたいのだと
理解できた。
どこにでもある田舎の貧乏家庭で垣間見た小さな愛情は深く美しかった。
どこにでもある家庭の小さな思いやりを踏みにじっちゃダメだと思わされ
今までそうやって築かれた上にある当たり前に与えてもらっていたそれを
散々無下にしてきた自分が悔やまれる
けれど それでも悲しませている私は一体なんだろうと考えさせらる。
翌日少し硬くなったメロンパンを夕食後に
三等分されコーヒーと頂いた。
いつしか父に「お前はやさしすぎるから」と憂われたけれど
そりゃそうにも育ってしまうわな と思わせれる
一方でそれを壊そうとする何かと戦う冷淡さも必要だと
これもまた考えさせられた。
形は違えど、星の数ほど家庭があって
星の数ほど愛情が瞬いているのでしょう。
が星空に目を向けなければ見えないね。
夜空の見えない処へ身を置けば見なくて済むともいえるのか。