夏バテのときに彼女とする会話 | 旅はみちづれ

夏バテのときに彼女とする会話

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先週の東京は、とても蒸し暑った。

木曜日、夕食のあと、俺は、ちかくの本屋で思いつきで手に入れた、「フランス名詩選」というイ文庫を片手に、いきつけのワインハウスに行った。
この本は、フランス語と、日本語訳が見開きになっていて、初歩的なフランス語しかわからないが、フランスの美しさが好きな俺にはちょどよい。

目次を見て、なぜか英語のタイトルだが「Paris at night」 という、ジャックPrevertの詩が目に留まり読んでみた。ちなみに、この本には、有名な「ミラボー橋」なんかもある。

そして、ワインハウスで、俺にボルドーのワインをついでくれた彼女に、そのページを見せて読んでもらった。どう思うか聞いてみたかった。

ジャックPは、「枯れ葉」を書いた人。

さて、この詩、男と女がいて、夜の闇のなかで、マッチを三本擦るお話だ。

一本目で顔を見る、二本目で目を見る、最後ので口を見る、という。

「そして、(マッチがなくなったことをいいことに)あとの暗がり全体はそれをそっくり思い出すため。
君をたきしめたまま。」で終わる。

ワインハウスの彼女が、どんな感想を述べたかは、もう覚えてはいない。しかし、そのあと、しばらく話した。店じまいの手伝いがはじまるまで結局話した。

はっきり言って、俺は猛暑で夏バテだった。

だから、まず、夕食にステーキを食べ、閉店まぎわのこの店で、うまいワインを一杯だけ飲みながら、久々にフランス語の美しさに触れ、店員の彼女と会話をしばらくし、椅子をすわりたくなる椅子のようにスケッチし、やっと生きたここちがしたのだった。