【選手主導のチーム】メタ・スポーツマインド_010 | 選手が心を傾けるスポーツコーチ ヤディ(八所和己)

【選手主導のチーム】メタ・スポーツマインド_010

小学生だからって、子供扱いしていませんか?
小学生の意図や意思ってとてつもなく尊いものです。

こんなエピソードがあります。

少年野球は、一度入ると、生活習慣の中に「野球」というジャンルが組み込まれることが少なくありません。食事・睡眠・お風呂・歯磨き・野球。同じグループに属するほど生活の一部になることがあたりまえの世界になったりするものです。親はもちろん、それでいいのだという宣言をします。家族ぐるみで野球と向き合います。
野球チームは大人のコーチたちが、親コーチたちが、子供達よりも熱く野球を語り、勝つことを意識するものです。
そして、強いチームほど、勝っても揉めて、負けても揉めるという大の大人がチーム内バトルロワイヤルを展開するのです。
そんな少年野球界で、子供達の友情が産んだエピソードがあります。
そのチームFは、ある大きな大会の決勝戦までこまを進めました。決勝戦の1週間ほど前、Fチームの主将を務めていたM君が
両親にある提案をします。
「決勝戦に休部中のO君をベンチに入れてほしい」
「え?どうして?」
O君は中学受験を控えていたので、受験が終わるまで休部扱いになっていたのです。
「6年生は全員一緒に戦いたいから」
M君の気持ちに応えようと、両親は早速監督さんに相談。監督さんからO君の両親に連絡してもらい、
その日だけ勉強をお休みして、野球に来てくれることとなりました。
そして、決勝戦はO君もユニフォームを着てベンチ入り。
もちろん試合には出られませんが、チームの一員として一緒になって応援をしました。
試合は一進一退。最後は6-5のサヨナラ勝ちで優勝を勝ち取りました。
選手もコーチ陣も大喜び!
そして、表彰式。主将のM君がまたしても父親のところへ。
「優勝旗はO君にもらってほしい」
父親はその言葉を聞いて涙が止まらなくなりました。
そして、
「Mがそうしたいなら、いいと思うよ」
そして、O君が優勝旗を手にしました。
2人にどんな友情があったかどうかは知る由もありません。
だとしても、チーム全員で優勝を分かち合うという思いは
とても素晴らしく、優勝してもしなくても関係なく、
全員で戦えたということで満たされた時間になったんだと思います。
エモーショナルタンクは選手全員が満タンの状態だったと思います。
小学生であっても選手主導でチームを作る。
スポーツにはそんな力があるのです。これがスポーツの価値だと思います。