検査・発見・治療日記⑦ | 選手が心を傾けるスポーツコーチ ヤディ(八所和己)

検査・発見・治療日記⑦

6月22日(金)


手術の日。


食べ物は前日の0時まで。


飲み物も朝6時まででそれ以降は禁止。


妻に早く来てもらって手術の準備。


手術着を着て、キャップをかぶり、ストッキングを履く。T字帯をつけて準備完了。



ナースさんが呼びに来て、


歩いて手術室へ。この格好で普通にエレベーターに乗っていく。同じように手術をする患者さんが1名一緒に乗った。


エレベーターの前で妻とはお別れ。


手術室の前に着くと椅子に座って数分待つ。


この間は、無。何も考えていなかったように思う。緊張も恐怖も、当然楽しさも。


何も無かったような気がする。


看護師さんが来て、名前を聞く。


患者を間違えないためだ。


そして、手術室へ。


病室のベッドよりも狭い手術台に寝る。


早速何人ものナースや麻酔科のドクターが様々な装置をつけていく。あっという間に手術着はバラされ脱がされて、T字帯のみ。タオルが掛けられる。手際の良さにびっくり。機械的ではなく、ちゃんと声かけをしながら笑顔で対応。

「これ、取りますよー」

「寒くないですかー?」

「麻酔の準備しますねー」


でも自分自身は依然として無。


いずれ気を失うことを知っているため思考は既に停止状態にある。


麻酔は点滴とマスク。


麻酔投入。


「ヤトコロさーん。」


かすかに聞こえたがそのまま落ちた。


あっという間に。





気づくとベッドの上。




手術は終わっていた。傷の痛みはあるように感じた。



身体が重く動くことができない状態。



妻が側に立っていた。


「これ。」



スマホを見せる。



そこには、切り取った腫瘍が写っていた。


「砂肝。。。。みたい。。。」



35mmの腫瘍は思ったよりも大きく見えた。



あまり気持ちのいいものではないので写真は載せません。



これが癌か。



身体には決して良さそうなものではない。



こいつがいたのか。



大きく心は揺れなかった。



ただ、こいつが大きくなれば人は死に至るんだ。



そういう感覚はあった。



身体は重く。あまり喋る気も目を開ける元気もなかった。



足にはマッサージ機がつけられ、



点滴と、尿管。 





色んなものに規制された身体は



とても居心地が悪かった。



ずっと同じ体勢なので腰がいたくなり、



夜中に少し横を向かせてもらった。



寝苦しい夜。



負担が軽い手術とはいえ、苦しく重い夜だった。

(つづく)