1400年以上生き続けると言われる「不老不死の生物」をご存知ですか? | メインウェーブ日記

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私たちはなぜ眠り、起きるのか?睡眠は「脳を休めるため」ではなかった?生物の“ほんとうの姿”は眠っている姿?

いま、気鋭の研究者が睡眠と意識の謎に迫った新書『睡眠の起源』が、発売即3刷と話題になっている

「こんなにもみずみずしい理系研究者のエッセイを、久しぶりに読んだ。素晴らしい名著」(文芸評論家・三宅香帆氏)、「きわめて素晴らしかった。嫉妬するレベルの才能」(臨床心理士・東畑開人氏)といった書評・感想が寄せられるなど、大きな注目を集めている

(*本記事は金谷啓之『睡眠の起源』から抜粋・再編集したものです)


二人の父

小早川先生は、日本でヒドラを研究している、数少ない研究者の一人だった
ヒドラは現在、生物学の研究者たちがこぞって研究する対象ではない
しかし、かつてヒドラの研究が花形だった時代もあった
ヒドラは、生物学の黎明とともにあった生き物なのだ

生き物の体を形作っているのは細胞である
例えば、ヒドラの体は数万個程度の細胞によって構成されている
胴体も触手も、細胞が集まってできている
刺激を感知して発射される刺胞も、刺胞細胞という一つの細胞なのだ

生物を研究すること、それは細胞を研究することでもある
細胞を研究するには、細胞を視ることが不可欠だ
しかし残念なことに、細胞を肉眼で見ることができない
私たちの視力の最小分解能が、100マイクロメートル(1ミリメートルの10分の1)程度であるのに対し、細胞の大きさがそれより小さいからだ

17世紀後半、オランダで織物商を営んでいたアントニ・ファン・レーウェンフックという人物がいた
レーウェンフックは、洋服の生地の品質を確認するために、ルーペを用いていたが、もっと細かな構造を見ることはできないだろうかと考えた
そんな彼は、小さなガラスの球体を磨き上げてレンズにし、とても簡素な顕微鏡をつくり上げた
一見すると、ルーペと変わらないようにも見えるが、顕微鏡の倍率は300倍ほどもあったという

レーウェンフックは、科学者ではなかったが、強い探求心をもっていた
自作した顕微鏡で彼が観察したのは、洋服の生地だけではなかった
水たまりの水を採ってきては、その中にいる小さな生き物たちを観察し、ときに動物の血液や歯に付着している歯垢まで、ありとあらゆるものを見た
肉眼では見ることのできない“小さな世界”を目の当たりにしたのだ
彼は発見した微生物をanimalculesと呼び、論文として報告した
今日、レーウェンフックは“微生物学の父”と呼ばれている

彼が1702年に残した文章には、ある生き物の精密なスケッチが添えられている
細長い胴体に、触手をもつシンプルな体のつくり
触手には、刺胞が備わっている
そう、それこそが、ヒドラである

レーウェンフックは水辺でヒドラを見つけ、つぶさに観察した
胴体を伸び縮みさせ、ときに触手を動かすヒドラの様子が記されている
それだけではない
彼の観察眼は、科学者さながらだった

ヒドラが、どのようにして殖えるのか──
オスのヒドラとメスのヒドラがいるわけではなく、一匹の親ヒドラの胴体から、子のヒドラが新枝のように出てきて成長し、分離していく
彼は、そんな記録を残した
ヒドラという生き物は、“微生物学の父”によって見出されたのだ

ヒドラには、もう一人の“父”がいる
レーウェンフックと同じオランダで家庭教師をしていたアブラハム・トランブレーだ
レーウェンフックがヒドラの記録を残した後、トランブレーも、水路の水草に付着しているヒドラを発見する
彼もまた、ヒドラを採集し、どんな行動をするかを観察した

彼は、ヒドラが光の強い場所を好み、明るい場所へ向かって移動していくことを発見した
ヒドラは胴体の足にあたる部分から粘液を出し、普段は何かに付着して生活しているが、ときに足を剥がし、触手を巧みに使って、まるでしゃくとり虫のように歩いて移動することがある

さらにトランブレーは、ヒドラがもつ“特殊能力”を見出した
彼はあるとき、ヒドラの体を切り刻んで、バラバラにしてみたのである
普通の生き物は死んでしまうだろう
しかし驚くべきことにヒドラは、切り刻まれた小さな断片からでも、体全体を再生させたのだ

私が高校生のときに研究していたプラナリアのように、ヒドラはとても強い再生能力をもっている
ヒドラは2つに切断すれば、2つの個体になるし、4つに切断すれば4つの個体になる
切断した断片のそれぞれが、数日の間に完全体に再生するのだ

さらに体を擦りつぶして細胞同士をバラバラにしたとしても、それを一箇所に固めて置いておくと、新たな個体が形成される
その旺盛な再生能力を利用して、トランブレーはヒドラの体を切断し、異なるヒドラから得られた断片を器用につなぎ合わせ、まるで接ぎ木のようにして、新しい個体をつくることにも成功した

彼は“実験生物学の父”と呼ばれている
生物の体に細工をほどこして実験をするという生物学の方法論は、ヒドラから生まれたといっても過言ではない

ヒドラがもつ類い稀な再生能力は、生物学者たちを魅了した
私たち人間は、ひとたび体の一部を失うと、再生させることができない
どのようにすれば体を再生させることができるのか?
ヒドラからヒントを得ようとしてきた

ヒドラの体には、interstial cell(i-cell)と呼ばれる幹細胞が存在し、再生能力の源になっている
2015年に報告された論文では、同じヒドラの集団を8年にわたって追跡調査したところ、老化の兆候をほとんど示さないことが分かった
驚くべきことに、1400年以上生き続ける個体がいるという推定もある

ギリシャ神話には、ヒュドラーという名の恐ろしい怪物が登場する
ヒュドラーは、1つの胴体に蛇のような首を9つもっていて、首を切り落としても、何度でも生えてくる
ヒドラという名は、このヒュドラーにちなんでいるらしい
たしかにヒドラのシルエットは、9つの蛇の頭をもつヒュドラーを彷彿とさせる
しかし似通っているのは、シルエットだけではない
体を切り刻まれても擦りつぶされても再生し、老化せずに生き続ける
ヒドラは、“不死身の怪物”なのだ

(この記事は現代ビジネスの記事で作りました)

私は小学校で同じ小学校の児童がプラナリアの再生能力の自由研究の発表を見たことがあり、プラナリアの再生能力に驚いたことがある

ヒドラの再生能力も凄いですね

しかもヒドラは2015年に報告された論文では、同じヒドラの集団を8年にわたって追跡調査したところ、老化の兆候をほとんど示さないことが分かった
驚くべきことに、1400年以上生き続ける個体がいるという推定もあるという



 

 


私たちはなぜ眠るのか?
世界を驚かせた気鋭の研究者が睡眠と意識の謎に迫る極上の科学ミステリー
睡眠を通じて「生物進化のふしぎ」にも迫る