日本軍の”マル秘”「山岳サバイバル本」が”復刊”で異例ヒット | メインウェーブ日記

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老舗軍事雑誌『丸』の版元、潮書房光人新社が来年の終戦80年に向けて今年4月から刊行している光人社NF文庫『復刻版 日本軍教本シリーズ』の3冊が、いま話題だ
日本軍の最強サバイバル術が記された“知る人ぞ知る本格本”がまさか復刊されたとあって、Amazonの「軍事情勢」ジャンルで1~3位を独占(7月6日)するなど異例のヒットとなっている形だ


そんなヒット本は「密林戦ノ参考」「海軍兵学校生徒心得」など3シリーズが刊行されている形だが、今回は軍隊による登山の指南書『山嶽地帯行動ノ参考 秘』から一部抜粋・再構成してお届けしよう
本書の解説を担当した登山家の野口健さんが「内容は“山屋の常識”とも大きなズレはない」と評するサバイバル本には、令和の現代人が「学べること」があふれていた――

陸軍諸校が「実験」した「成果」をまとめたもの

『山嶽地帯行動ノ参考』は昭和19(1944)年1月に日本陸軍教育総監部が刊行した図書で、内容は高峻な山岳地帯での軍隊の行動について、陸軍戸山学校が中心となって陸軍諸校が実験した成果をまとめたもの

機密区分は単に「秘」扱いのため高度な極秘図書ではないが、内容は専門的で他の教範類には見られない事項がほとんどだ

山岳地帯での戦闘の仕方を指導するものではなく、あくまでも山岳地帯を行軍する際の様々な注意事項を記述したもので、いわば軍隊による登山の指南書といえる

記述は淡々と事実を記録し、陸軍の精神主義的記述はほとんどみられないのが特徴だ

例えば、部隊が人力で山砲を搬送する場合、各人の負担量をほぼ平均にすることが必要であり、その負担量は砲手の平均体重を約60キロとするときは大体50キロを適当とする

さらに搬送時の速度が細かく記載されているのは注目に値する

山地歩行、高山露営、給養・・・「極めて大切なこと」

砲手の体重を平均60キロとするとき、砲身を乗せる砲架(92キロ)を一人で負担する場合は平常歩行の約4分の1以下の速度となり、持久時間は約5分を限度とする
ところがこれを車軸と側板部とに分解すると背負子と併せて各々約50キロとなり、歩行が容易となる

また弾薬箱(6発入り)は重量が63キロで、一人で背負うときは持久時間が約10分で歩行はやや困難となるが、体力の優れた者に背負わせるときは他の兵と大体行動をともにすることができる

山岳での一列縦隊は距離が平地に比べて長く監督が困難になりやすい
それだけに行軍の注意点の記述も具体的だ

某部隊は平地の一列縦隊に比べて約3倍に増加し、時として10倍になる
平地での一分隊の一列縦隊の長径は約60メートルであるのに反し、山地では約180メートルとなるのが通常だ

人力担送を実施した場合、駄馬と担送兵との距離は最大500メートル開いたことがある

山岳地帯での行軍長径が延伸する影響は甚大であり、特に機動力が鈍重となる結果、戦機を逸し、連絡の中絶を来たし、給養に支障が出るなど大きな不利を生じる
ゆえに、行軍長径は最小限度にとどめ、道路補修部隊を先遣して行軍を容易にすることが極めて大切である

既存施設の利用がほとんど期待できない高山での露営は不可避だ
露営地の選定にあたっての注意事項は現在でも参考になる

露営地は天候に対する人馬の保護に適し、特に高山では給水や採暖に便利で、かつ天空地上に遮蔽し得る地区を適当とする
また被服乾燥用薪炭を若干携行することも要する
作戦に支障がない限り、露営地は標高2500メートル以下に選定することを可とする
なお、某部隊は富士山頂3700メートルに宿営した際、60%の高山病患者を発生させたことがある

食事は「塩」「乾魚類・・・のどの渇きを癒すには?

休憩や食事に関する注意点も実践的だ
体力消耗を極力抑える工夫がうかがえる

背負子を負っている場合は高さ腰程度の階段あるいは岩石のある場所を選び、これに背負子を託し、肩紐を緩め、あるいは杖で支え、または背から降ろして休憩する
背負子を背負ったまま立姿で息継ぎのため小休止する場合は、下方あるいは側方に向き、両足は同水平面上に置くことを要する

空腹感は行軍力を減殺するので、糧食を増やし、あるいは間食を支給する
それができない場合は一回の食事を二、三回に分食することが有益だ

携行食料として適するのは、栄養価が高い乾パンや砂糖餅である
食欲増進には、塩や乾魚類などが適している
のどの渇きを抑えるものとしては、飴玉、キャラメル、ドロップスが良い

高山での炊事(標高約3000メートル以上で沸騰点摂氏85度程度)は気圧の関係上半煮えとなるため、加圧炊飯法によるか、乾パンを使用することが便利である

どうしても空腹を抑えきれず、飢餓を覚えた場合は一時腹帯を締めるとよい

高山での衛生面の注意事項を指摘したくだりは、「衛生学」的な記述が濃い

標高の上昇とともに気圧が低下する高山では、低気圧に慣熟するにしたがい運動能力は体内における赤血球数の増加、血色素量の増加、代謝機能の順応などと相まって増強されるが、平地における程度には至らない
気圧低下はさらに浪費呼吸を行わせ、その結果肺胞内の炭酸ガス圧の低下を来たし、次いで血液内に過ろ症を惹起することがある

登山家の野口健氏が本書に寄せた解説文の一部を以下、引用する

本書を読むと、「精神論」が排除され、富士山や信州の高山での実際の訓練結果によるデータを基にした山岳戦への準備、装備、行動、衛生面の注意などが細かに記されている
その内容は現在の“山屋の常識”とも大きなズレはない

勝手な想像になるが、昭和18年夏の編纂時期にはすでに戦況は悪化の一途をたどり、軍首脳の頭には「本土決戦」のことがちらついていたのではないか
実際その後、長野県の山中(松代)に皇居や大本営、政府機関を移す計画が進められることになるから、理屈は合う
その際の山岳戦を想定して、本書を編んだのではなかったか

(この記事は、現代ビジネスの記事で作りました)

日本軍による教本シリーズの復刊

本記事では「山岳サバイバル」

ちなみに私は戦争肯定派でもないし、軍事オタクでもないし、サバイバル愛好家でもないし、登山好きでもない

しかし、緊急時の「生き残り」「サバイバル」には興味がある

知っておいて損はない現代にも応用できる知識がわかる

 

 


登山家の野口健氏が本書に寄せた解説に「本書を読むと、「精神論」が排除され、富士山や信州の高山での実際の訓練結果によるデータを基にした山岳戦への準備、装備、行動、衛生面の注意などが細かに記されている
その内容は現在の“山屋の常識”とも大きなズレはない」とある
現在にも通じるサバイバル本、実践本・実戦本だ

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