ウイルスの生態系に変化が
7月上旬、仕事を終えて帰宅した本誌記者は、ばったりとソファに倒れ込み、動けなくなった
夜中に喉が痛みだし、一気に熱が39度台まで上昇
コロナかインフルエンザを疑い、翌朝、慌てて近所の内科に駆け込むも「発熱してから24時間経っていないから、検査をしても陰性になる」と告げられた
結局、解熱鎮痛薬だけ処方されて帰路につく
ひとまず解熱剤で熱は下がったものの、あまりの喉の痛さに、水すらまともに飲むことができない
重い症状のわりに、咳や鼻水も出ないので不思議に思っていたが、1日経って原因がわかった
手の平と足、そして顔に発疹・・・手足口病だったのだ
もう一度内科に行くと「手足口病で間違いない」と診断された
しかし、手足口病に特効薬はない
苦し紛れの塗り薬だけ処方され「とにかく休むように」と指示された
実は、本誌記者は5月にも咽頭炎で一度ダウンしている
さらに、年始にも風邪で発熱した
15年以上仕事をしてきて、上半期だけで3度も体調不良に陥るのは初めてのこと・・・
「疲れているのかな」と思っていたが、どうやらそうではないらしい
いま、このようにつぎつぎと感染症に罹る人が日本中で急増しているのだ
医療法人社団五良会理事長の五藤良将氏が解説する
「感染症に罹り、免疫が下がったまま別の感染症に罹患する—まるでドミノ倒しのように、数ヵ月おきに感染症に罹る『感染症ドミノ』が人々を襲い、医療業界でも問題になっています」
子どもの場合は、さまざまな感染症に罹ることで免疫を獲得し強くなっていく
しかし高齢者は弱っていく一方だ
五藤氏が続ける
「免疫力の低下による感染しやすさ、重症化しやすさ、という意味では、大人のほうがむしろ危険とも言えます。たとえ感染症が治って体調が戻っても、一度落ちた免疫は回復するのに2ヵ月はかかります。そして、その間に別の感染症に罹ってしまう。
回復力が衰えていると、免疫がもとに戻るのにも時間がかかってしまい、ますます感染症に罹患しやすくなってしまうのです」
厚生労働省が毎週発表している「感染症発生動向調査」によれば、6月24~30日の1週間の間に次のような感染症と感染者数が報告されている
コロナは3万件にも迫る勢いで、このまま増え続けると、緊急事態宣言時のような感染状況にもなりかねない
溶連菌は昨年に比べて2・4倍、手足口病は対昨年で9倍もの大幅な増加
RSウイルスも例年同様に流行している
さまざまなウイルスが同時多発的に大暴れしているのだ
なぜ、こんなにも多様な感染症が同時流行しているのか
背景には、コロナ禍の生活が影響していた
「コロナ禍で感染症対策が徹底されたことで、日本人全体の各種ウイルスに対する免疫力が大幅に低下し、あまりにも免疫がない『免疫負債』と呼ばれる状態になってしまっています。
コロナ禍ではマスク着用が当たり前で、手洗いうがいも徹底されていました。大げさに言えば、これはまるで宇宙船やビニールハウスのような無菌状態の環境で約3年を過ごしたことになる。そのため、ちょっとウイルスが体内に入るだけで被害が大きくなりやすくなってしまっているのです」(五藤氏)
肺炎が重症化する
約3年にもわたって人間が「無菌状態」の生活を続けたことで、ウイルス側にも「地殻変動」が起きた
本来、ウイルスというのは棲み分けをする
ある年にインフルエンザが流行したら、次の年はノロウイルスが流行するなど、ウイルス同士が人間界という土壌の奪い合いをしており、1つのウイルスがその時期の勝者となって繁栄するのが常だった
しかし、コロナを経てその生態系が変わってしまったというのだ
あんどう内科クリニック院長の安藤大樹氏が解説する
「これまでは『ウイルス干渉』という現象によって、基本的には1つの感染症のみが一定期間猛威をふるっていました。しかし、人間側の免疫力が全体的に、そして一気に低下したことによって、ウイルスがどこでも活動できる無法地帯になってしまったのです。
その結果、本来なら8月に活発になるようなウイルスが5月から流行しだすなどの異常事態が起きています」
ひとつひとつの感染症の症状は軽くても、それがドミノになれば、命に関わるケースもある
安藤氏が警告する
「風邪が重症化すると、ウイルスや細菌が気管支を経て肺にまで到達することがあります。そうなると、肺炎となってしまいます。なかでも心臓病や糖尿病などの、基礎疾患のある方は重症化するリスクがあるので注意が必要です。
私の患者でも、1ヵ月咳が止まらず来院された方がいます。レントゲンを撮ると、肺炎で肺が真っ白になっていて、即入院というケースもありました。夏風邪だと思って油断してはいけません」
では、感染症を予防するために、どうすれば免疫力をあげられるのか
免疫力というのは、白血球のなかにあるNK細胞の働きによっても左右される
NK細胞の働きが活性化していれば、自ずと免疫力もあがる
規則正しい生活やバランスの取れた食事は当たり前
ただ一方で、「無菌状態」に慣れすぎた現状では、あえて「毒」を入れることも有効だという
順天堂大学医学部免疫学特任教授の奥村康氏が解説する
免疫力を高める意外な方法
「そもそもNK細胞の働きは、加齢によって低下してしまいます。しかし、規則正しい生活をしていれば、自然とNK細胞も活発に働く。
ただ、あまりにも刺激がないのもかえってよくありません。むしろ多少のストレスがあったほうが、免疫があがる。
たとえば、お酒もある程度の量であれば、毎日飲んでいたほうが、免疫があがる。タバコも同様です。フランスでは、喫煙者のほうがコロナに感染することが少なかったという論文も出ています。
ただし、当然ですが、お酒もタバコもほどほどに。ストレスが過剰になってしまうとかえってNK細胞の活動を弱めるので注意してください」
ドミノをどうやって倒さないか
そして、倒れ始めたらいかに早く止めるか
まずは、コロナ禍によって自分の身体が弱くなってしまったことを認識することが重要だ
(この記事は、現代ビジネスの記事で作りました)
ウイルスなどは基本、冬の方が活発だ
夏場に活発なウイルスもあるようだが・・・・
ウイルスが同時多発的に出たのはコロナ禍の感染対策で「無菌状態」になり、免疫力低下が原因のようだ
多少、菌などのいる生活の方が免疫力は高まるようだ
現代、ある意味地球の頂点にいる人類の天敵は、ウイルス・菌、それらを媒介する昆虫だ
人類は太古からウイルスと戦ってきた
天然痘、ペスト、インフルエンザ、新型コロナなど・・・
おそらく今後もウイルスと人類の戦いは続くだろう
共栄・共存も必要かも