「感情を持たないAI」は、「人間のように」上手に短歌を詠めるようになるのか? | メインウェーブ日記

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令和の世で、空前のブームとなっている「短歌」

そしてもはや私たちの日常にも深く入り込んでいる「AI」

感情を持っていないはずのAIが、どうやって、まるで人のように短歌を詠めるようになるのか
そこでAIてきたAIと人との幸福な関係性とは? ーー〈短歌AI〉の開発に心血を注いできた気鋭の研究者・浦川通氏がわかりやすく解説する

※本記事は講談社現代新書の最新刊『AIは短歌をどう詠むか』から抜粋・編集したものです

短歌を生成する〈短歌AI〉
問題です
次に並べる短歌のうち、AIがつくったものはどれか当ててみてください

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揺れている構造物があるとする場合に限り地震の揺れは
パン屋では客の好みを聞きながら商品を決め袋に詰める
学校に向かう途中の少女鉄神像の間を列車が抜けた
目が醒めて匂いを嗅いで好きだといい猫になったあとなんとなく死ぬ
街角の影がくっきりふりかかる太陽からの冷たさに耐え
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さて、問題の答えですが、勘のいい読者の方はすでにお気づきかもしれません
実はどれも短歌を生成する〈短歌AI〉が生成したものです

いかがでしょう?
いかにもAIが生成したような味気ないものから、少し短歌を「わかっていそう」なものまで、さまざまあるように感じられませんか

なぜAIから、これだけ違った表現が生まれてくるのでしょうか
AIも、短歌を上手に詠むことができる? 
そんな問いから出発して、「AIが短歌をつくる」ということについて、さまざまな実践を通して考えていこうと思います

新しい視点から考える
『AIは短歌をどう詠むか』では、短歌を生成するAIの仕組みを解説しながら、AIがどのように短歌を学び、またそれをつくっていくのかを見ていきます

読者は、AIと短歌それぞれに対して、専門的な知識を持たないものと仮定します
本書を読み進めれば、「コンピュータが言語を処理するとはどういうことなのか」に始まり、「AIが短歌をつくる際にはどんなことをしているのか」がわかり、さらには「短歌入門」的な知識も得られるように努めました

最初にお断りをしておくと、タイトルでは『AIは短歌をどう詠むか』と謳っていますが、この本の目的は〈AIを駆使した短歌のつくり方〉を解説することにはありません
むしろ、〈AIが短歌をつくる〉という過程を通して〈人が短歌をつくる〉こと、ひいては〈私たちが毎日扱う言葉〉について、新しい視点から考えることを目指しています

いま読者の皆さんには、「そもそもAIに短歌をつくることができるの?」「ほんとうにAIに上手い短歌がつくれるの?」といった疑問が浮かんでいるかもしれません
本書ではAIを通して、「短歌をつくるとは何か」「短歌が上手いとは何か」といった問いについて、改めて考える機会が提供されます
AIに対する疑問が、そのまま私たちの行為にも返ってくるのです

新聞社の短歌AI
ここで、なぜ私がこの本を書いているのか、簡単に自己紹介をさせてください

かつて私は、「メディアアート」の制作をしていました
メディアアートとは、新たなテクノロジーを応用して制作される、あるいはテクノロジーそのものをテーマにしたアートのことです
それは、「私たちの日常をつくる技術と私たち自身の関係性」について、モノをつくるという実践を通して考える行為でした

そして現在、私の興味は「言葉」に対する技術の応用に向かい、朝日新聞社メディア研究開発センターで「自然言語処理」の研究開発に取り組んでいます

自然言語処理──ひょっとしたら、聞き慣れない言葉かもしれません
これは、人が日常で扱う言葉をコンピュータが処理する技術を指します
人によって書かれる文章や話される会話など、私たちが毎日の生活で交わす「言葉」をコンピュータが処理し、例えばそれを別の言語へ翻訳したり、重要と思われる箇所を要約したり、といった「言葉」にまつわるさまざまなことをできるようにする技術です

そしてこの自然言語処理は、人間の言葉を理解し扱う技術として、AI研究の分野とも深く関わっています
この分野では「機械学習」と呼ばれる手法が広く用いられており、大量のデータから学び、特定の課題を解決するAIが開発されています
新聞社には、過去から現在にわたる多様な出来事を記録した膨大な新聞記事があり、これらは私たちのAI開発に不可欠なデータとなります
実際、メディア研究開発センターでは、そのような大量のデータを利用して、自動的に記事の見出しを生成するAIなどを開発してきました

短歌を生成する〈短歌AI〉も、新聞社の中で生まれたAIです
私の個人的な興味から試作を始めたのちに、100年以上の歴史を持つ「朝日歌壇」を担当する文化部をはじめ、社内外の研究者、さらには歌人といった方々との協力のもとで形づくられ、世の中へと広げられています

短歌とAIと人が出会う


私はこれまでに、短歌AIをつくるための学習データを準備したり、短歌AIがより短歌らしい内容を生成するにはどうすればよいか、試行を重ねたり、短歌生成の様子を歌人の方に見せて反応を窺ったり、またそこからAIと人との関係について考える場を提供したり、「短歌とAIと人」に関わる活動をさまざまに重ねてきました

本書では、そんな過程の一つ一つから得られた発見や知見を整理し、皆さんにお伝えします

まず序章では、AIがどのように言葉を学習してそれを扱えるようになるのか、AI=言葉を生成する「言語モデル」の基本的な原理を示します

続く第1章では、朝日新聞社でのさまざまな取り組みを例に、短歌AIの全体像を眺めます

第2章では、五・七・五・七・七のリズムを持つ短歌の「定型」を、AIがどのようにして身につけるかについて説明します
そして、短歌を「詠む」ためには短歌を「読む」のが大事であること(第3章)、言葉を「歌」にするための飛躍について(第4章)解説します

第5章では、短歌AIと人間とのやりとりを通じて、短歌をつくる現場での人とAIの関係を考えていきます
AIの発展の速度は近年とても速く感じられますが、言葉を扱うそれを介して、短歌という文化・創作について改めて考えていく過程には、普遍性が宿ると信じています

まるで人のように短歌をつくるAIがある
確かにそれは、人と「似ている」わけですが、AIの方が得意なこと、人間の方が得意なこと、AIにしかできないこと、人間にしかできないこと、そして共通してもっていること・・・が、短歌AAIを通して見えてくるでしょう
私はこれを、新たに短歌と私たち人間について考える、良い機会だと捉えています
いま、この時代だからこそ生まれる、人が短歌をつくることへの新しい感覚を、この本の中で表すことができたらと思います

〈AI〉が短歌を学び、そして〈人間〉と出会う
このさまを見ることで、〈あなた〉が短歌について知り、それを自分のものとして、新しい歌をつくる
この本が、そんなきっかけの一つとなればうれしいです

(この記事は、現代ビジネスの記事で作りました)

AIの進歩は日進月歩です

生成AIでもよく知られているCHat GPTの最新版「Chat-GPY4o」は人間との自然の会話のやりとりが凄いらしい

人間の自然の会話のレベルでスムーズに会話ができるという

会話に全く不自然さがないですね

AIの大きな可能性を感じました

 

 


ブームになっている短歌
そして我々の日常に普通に入り込んでいるAI
短歌を通じてAIと人間の関係性を考えます