オカルト誌との「混ぜるな危険」で大ヒット、『地球の歩き方 X ムー』はどんな本か | メインウェーブ日記

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起死回生『地球の歩き方』がオカルト誌「ムー」とコラボ、大ヒット13万部の続章 では、『地球の歩き方」新井邦弘社長 と「月刊ムー」三上編集長の対談を聞き、この驚くべき「異色2媒体コラボ」について紹介している
本稿では実際に、書評家の松尾優人氏に『地球の歩き方 ムーJAPAN :~神秘の国の歩き方』を読んでもらった

『地球の歩き方』シリーズは1979年に創刊した老舗のガイドブックだ
世界各国、もしくは日本各地の観光地を取り上げる本シリーズで何よりも重要視されるのは、情報の信頼性と言って間違いないだろう
 
そして、同じ1979年に創刊した老舗雑誌が『ムー』だ
言わずと知れたオカルト雑誌の代表格である
掲載されている情報には、多少信頼性に欠けているものもあるが、『ムー』で何よりも重要視されるのはロマンであるから、なんの問題もない
 
この、決して交わらない二つのメディアがコラボしたことによって生まれたのが『地球の歩き方 ムーJAPAN:~神秘の国の歩き方~』だ
 
前作にあたる『地球の歩き方 ムー-異世界(パラレルワールド)の歩き方―』は13万部を売り上げるだけでなく、その年のSF作品およびSF活動を表彰する第54回星雲賞のノンフィクション部門を受賞する快挙を成し遂げている
本書は異色コラボの第2弾である
 
率直なところ、本書を短く紹介するのは難しい
地球全体を取り上げた前作と異なって本書は日本のみにフォーカスを当てているのだが、その情報量が膨大なのである
妖怪に古墳にUMA、異星人や神話など、ありとあらゆる『ムー』的な要素がおよそ400ページにもわたって網羅的に紹介されているのだ
 
筆者は近畿圏在住なので、ひとまず関西地方のページを開いてみた
すると最初に飛び込んできたのは「ビリケンはアメリカ生まれ!?」という題の小欄だった

筆者も大阪の通天閣にのぼって何度か足の裏を撫でたことがある(御利益があるそうだ)が、寡聞にして知らない知識だった。
 
通天閣のシンボルとして知られるビリケンは、実は兵庫や千葉などにも現存しているのだという
もっとも、これ自体はオカルトでもなんでもない、単なる事実だ
そして掲載されている情報全体からしてみれば、初歩中の初歩の知識に過ぎない
 
ガイドブックの枠に囚われることなく、本書では関西地方の部分だけでも「ワッショイはヘブライ語由来」であるとか「鞍馬天狗は金星からの使者」であるとか、いかにも『ムー』的な、としか言いようがない世界観が随所で繰り広げられている

ガイド片手に旅に出よう
このような、あまりにもロマン溢れる逸話が日本全土の規模で、フルカラーのビジュアルを伴ってぎっしりと詰め込まれているのだ
良い意味で途方もない書籍である
 
しかし、オカルト好きとは(筆者を含めて)欲深い生き物である
扱うジャンルが多岐にわたっているおかげで、更に多くを求めてしまうのかもしれない
本書を手に取った人は、興味のあるトピックこそ、より詳しく知りたいと思うのではないだろうか
 
ではどうすればいいか。実際に旅に出ればいい
忘れてはならないが、本書は『地球の歩き方』、でもある
当然、ガイドブックの役割もきちんと果たしているのだ
 
具体的には、本書ではミステリースポットを巡る一泊二日の旅、そのモデルルートが地方ごとに用意されている
たとえば関西地方ならば、一日目は琵琶湖から始まって京都の寺社を巡り、二日目は大阪の古墳群を訪れる、といった具合だ

「駆け足で巡る」と書かれているように、少々タイトなスケジュールに思えるので、自由な旅行の基礎として考えるのがいいだろう
それでなくとも、本書を読めば読むほど、寄り道したいスポットは増えていくはずである
 
旅に慣れてない人への配慮も欠かしていない
本書では「パラレルワールドの歩き方」と題して旅行そのものに関する基礎知識がまとめられている(中には貨幣に関する辞書的な説明までもが含まれている。まるで初めて地球に訪れた異星人に対して解説しているようだが・・・)

紹介されているスポットには、簡単なアクセス方法が併記されている
より詳しい行き方やホテル選びなどはスマートフォンなどに頼ることになるが、気になる場所への第一歩としては十分に役立つはずだ
 
とはいえ、まとまった時間が取れず、旅行は難しい、という人もいるかもしれない。そのような悩みへの対応もバッチリだ。それが「アームチェア・トラベルのための書籍セレクション」である。アームチェア・トラベルとは「家にいながら旅行気分を味わう」ことを意味する。
 
本書の末尾には気になった場所をより深く知るために効果的な本が50冊紹介されている
このチョイスは『ムー』の色合いが非常に濃い
オカルト好きは重宝するだろう

『地球の歩き方』と『ムー』のコラボは確かに異色だが、理にかなっているとも言える
旅にせよオカルトにせよ、どちらも土地に紐付いているからだ
そして本書は二つの要素を上手く組み合わせたうえで、『地球の歩き方』は実際の旅行を、『ムー』はアームチェア・トラベルを、という風に別々の部分をアシストしている
 
もちろん両者を組み合わせることも可能だ
家で読めば読むほど旅行欲は湧き上がるだろうし、実際に行った場所を振り返るのにも本書は最適な案内になるだろう
 
本書は旅とオカルト、どちらの初心者も取りこぼすことがない作りになっている
旅についての信頼性、オカルトについてのロマン、双方に対して極めて真面目に取り組んでいるからこそ、パラパラとめくるだけで知的好奇心をかき立ててくれる贅沢な一冊に仕上がっているのだ

『地球の歩き方 ムーJAPAN: ~神秘の国の歩き方~』(2024年、地球の歩き方編集室 編、Gakken刊)

(この記事は、Forbes JAPANの記事で作りました)

「地球の歩き方」や「ムー」はどちらも1979年創刊で私の愛読してきたものだ

「地球の歩き方」は私が中国への短期留学の経験もあり、中国編を熱心に熟読した

当時はインターネットなども普及しておらず、地球の歩き方は最高のガイドブックだった

「ムー」は、不思議・オカルト・神秘などが大好きな私にとってはかなりの愛読書だった

仙道やヨガ、オカルトなどに興味のあった私はムーの世界に魅せられた

こんな「地球の歩き方」「ムー」の愛読者であった私にはこのコラボは注目だ

 


地球の歩き方とムーのコラボ第2弾
神秘的で身近な日本のムー的歩き方
 

 


地球の歩き方とムーのコラボ第1弾
両方の視点から魅惑的な神秘の世界をガイド