【童謡の謎】「こいのぼり」の歌詞に“お母さん”がいない、意外に深いワケとは? | メインウェーブ日記

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四季がある日本には、春夏秋冬それぞれを歌った童謡が数多く存在する。5月5日の端午の節句に歌われる「こいのぼり」も、子どもから大人まで広く知られる童謡のひとつだ
じつは、その歌詞には、さまざまな意味や想いが込められているという
人気シリーズ『童謡の謎』の作者が「こいのぼり」の謎について解説する
※本稿は合田道人『歳時記を唄った童謡の謎』(笠間書院)を一部抜粋・編集したものです。

● 「こいのぼり」の歌詞に お母さんがいない謎

「こいのぼり」(作詞近藤宮子・作曲不詳)

「やねよりたかいこいのぼり。大きいまごいはお父さん」
「小さいひごいは子どもたち。おもしろそうにおよいでる」
4月後半からのゴールデンウィーク、大型連休の中に5月5日は端午の節句である
今でこそ5月5日は男女関係なく子どもを祝す休日になっているが、元々はちまき、柏もちを食べ、武者人形やよろいを飾り、さらにこいのぼりを立てて男の子の成長を祝う行事である
ではなぜ、端午の節句にちまきや柏もちを食べるのだろう?

端午の節句の5月5日は、中国の湖南省北東部の川、汨羅江に身を投げた英雄、屈原の霊を慰める日だった
投身後、屈原の姉が弟を弔うために川に向かってちまきを投げ入れた
ちまきには霊を慰める力、霊を祀る力があるとされるからだ

ちまきはもち米粉、くず粉などで作るが、それを笹や真菰などの葉で巻き、いぐさでしばって蒸す
それを徳川時代、9代将軍家重の頃に端午の節句に食すようになった
柏の葉は新芽が育つまで古い葉っぱが落ちないことから子孫繁栄、つまり家系が途切れないという縁起をかついだのだ

そんな端午の節句を祝う日の歌としてなじみ深い「こいのぼり」は、よく知られた歌がふたつある
ひとつは、「甍の波と雲の波」と歌われる「鯉のぼり」
そして、「やねよりたかい、こいのぼり」である

講演会などに出向くと、こんな質問がよくくる
「どうしてこの歌にはお父さんと子どもたちは出てくるのに、お母さんは出てこないのですか?」

確かに、「大きなまごいはお父さん、小さいひごいは子どもたち」と歌ったあと、「おもしろそうに、およいでる」と終わってしまう
お母さんが出てこないのが不思議といえば不思議なのである

実はこの行事、男の子の祭りとされているが、実際は女性が小屋にこもって田んぼの神にその年の豊作を願うという女の祭りだったというのである
昔の暦でいけば5月5日は、今でいう6月、梅雨入りの季節である

この時期の雨量によって、秋の稲の収穫が左右される
実に梅雨は大切なのだ

女性が農耕の神を祀る風習は弥生時代からというから、稲作の広まりとともに始まったとされる
卑弥呼がこの風習を始めたともされている

そのため農村の女性たちは一日、集落の小屋や神社の拝殿などに集まり祈りを捧げ、神事のあとに直会とよばれる神様との、今でいう食事会、宴会でご馳走や酒を飲み、楽しみながらも朝がくるまで、その場にいることになっていた

言い換えれば年に一度の夫や子、舅や姑から解放される日だったとも解すことができる

小屋の玄関口には魔除けの力を持つとされるよもぎや菖蒲が飾られる
よもぎも菖蒲も香りが強い
強烈な匂いは悪霊や鬼退治にはうってつけだと信じられていた

それだけではなく、菖蒲には実際にはアサロンやオイゲノールといった精油成分が含まれているため、これからやってくる暑い夏も健康に過ごせるのだ
昔の人はそうしたことも知っていたのだ

さらに神様が天から下りてくる目印としてのぼりも立てた
それがこいのぼりに変じていった

これも中国の話からきている
「登竜門」という言葉をよく聞く
「あの番組での優勝が、人気スターへの登竜門だ」「あの賞を受賞することが文壇への登竜門だ」などなど
登龍門とは、成功へといたる難しい関門を突破することだ

中国の歴史書『後漢書』の「李膺伝」に中国の黄河の上流に「竜門」と呼ばれる激流があり、その下に多くの鯉が集まるという話がある
その鯉のほとんどは急流を登れないのだが、もし登ることができた鯉は竜になれるとされているのだ

ここから男の子の出世を祈願するため、神様の目印だったのぼりが、こいのぼりへと変わっていったのだった
さらに菖蒲を尚武(しょうぶ)、つまり軍事を用いるという意味にとったり、勝負(しょうぶ)に引っ掛けることで、武家の男の祭りになっていく

しかしこの日は元来、女性の日だった
だからこそ「こいのぼり」の歌にはお母さんがいないのだ
一日の休息を経て明日からは田植えが始まるのだ
翌日からが、女たちの出番なのである

祝日法によると「こどもの日」は、子どもの人格を重んじ、幸福をはかるとともに、母に感謝する日と定めている
子どもを生んでくれた母親に感謝する日と定められているのだ

端午の節句のお母さんは、いないのではなく、しっかり主役なのである

(この記事は、DIAMOND onlineの記事で作りました)

確かに「こいのぼり」の歌詞にお母さんがいないのは不思議でした

しかし本記事にあるように、そんな「わけ」があったとは・・・

最近は地球温暖化などで童謡に唄われる四季がなくなりつつあるようで心配です

 


日本の春夏秋冬の四季を唄った童謡には郷愁や不思議さ、怪奇性、切なさなどを感じることもあります
童話もそうですが、童謡にも大人も惹かれる不思議な魅力があります
「しゃぼん玉」「はないちもんめ」さくらさくら」「ちょうちょ」などおなじみの童謡の意図・謎などに迫る