火星のオリンポス山は海に浮かぶ島だった? ハワイと似た特徴、太陽系最大の火山の形成に新説 | メインウェーブ日記

メインウェーブ日記

気になるニュースやスポーツ、さらにお小遣いサイトやアフィリエイトなどのネットビジネスと大相撲、競馬、ビートルズなど中心

高さ6kmの崖は太古の海岸線か、異論も・・・
火星のオリンポス山は知られている太陽系の火山では最大であり、裾野の直径は約600km、周囲の平地からの高さは約24kmもある

火星の北半球にそびえる巨大火山「オリンポス山」は、高さが20kmを超える太陽系最高峰の1つだ
今回、この山は約38億年前には火星の海上にそびえる火山島だったかもしれないとする研究が発表された

2023年7月24日付けで学術誌「Earth and Planetary Science Letters」に論文を発表したフランス国立科学研究センターの火山学者アンソニー・ヒルデンブランド氏の研究チームは、オリンポス山の外縁の切り立った崖が、地球のハワイ諸島やアゾレス諸島の火山島によく似ていることに注目した
この特徴は、溶岩が海に流れ込むときにできる

火星の巨大火山・・・
ヒルデンブランド氏によると、オリンポス山の体積は、火山列島であるハワイ諸島のすべての島の合計よりも大きいという
裾野の幅は約600kmもある

科学者たちは、火星にこれほど大きな火山ができた理由として、火星の重力が地球の重力の約3分の1しかないことと、火山を造ったプルーム(マントルの上昇流)が長期にわたって非常に活発だったことを挙げている
ハワイ諸島ではプレートの移動とともに火山活動が起きている場所も移動したため、新しい火山島が点々と形成されていったが、プレートの移動がない火星では同じ場所で火山活動が続くため、オリンポス山はどんどん大きくなっていった

これまでオリンポス山の噴火が観測されたことはないものの、研究により、つい200万年前にも噴火した可能性があることが示されている
もしそうなら、今後も噴火するかもしれない

上空から見たオリンポス山は、地球の多くの火山島と同様、粘性の低い溶岩流が何度も噴出してできた楯状火山だ
山頂には古いカルデラがあり、巨大なクレーターがいくつも重なり合っている
山腹の傾斜は緩やかだが、北西と南東には、高さ約6kmの断崖がはっきりと見える

「オリンポス山を真上から見ると、崖が中心に向かって凹んでいることがわかります」とヒルデンブランド氏は言う
「そして、山腹の傾斜が約15度も鋭く変化する様子は、地球の火山島とよく似ています」

氏は、北側の高地の一部にある古代の海岸線と思われるものは、はるか昔にそこに1つの海があったか、異なる時代(約38億年前と30億年前)に2つの海があった証拠ではないかと考えている

この説に対して懐疑的な専門家もいる
溶岩流が海に流れ込んでできたと考えるには、この崖は高すぎるというのだ
約6kmという高さは、かつて火星の北半球を覆っていたと考えられている海の最大の深さの約2倍もある

米ライス大学の地質学者で、ハワイ諸島などの火山島の進化を研究しているジュリア・モーガン氏は、オリンポス山の崖は海岸線とは関係なく、火山が成長して広がったことで斜面の下の方に形成された溶岩の段丘ではないかと言う

変化する火星の風景・・・
高さの問題について論文の著者たちは、崖はオリンポス山が現在よりも低かった時代に海面の高さで形成され、その後火山が隆起したことで現在の高さになったのではないかと提案している

「私たちは、火星全体を覆う深さ6000kmの海があったと主張しているのではないのです」とヒルデンブランド氏は言う
氏らは、オリンポス山の重みで周囲の海底が沈降した後、隆起によって再び上昇したのではないかと考えている

研究チームは、オリンポス山から北東に約1800kmのところにある火山「アルバ山」の北の外縁の崖も、溶岩が海に流れ込むことでできた可能性があるとしている

アルバ山は比較的平らで、高さは6km強しかないが、裾野の面積は米国と同じくらいある
外縁の崖の高さは5弱kmでオリンポス山より低いが、研究チームは、最初の沈降やその後の隆起があまり大きくなかったのかもしれないと考えている

アルバ山は火山が多く分布するタルシス地域という高地にある
そのためヒルデンブランド氏は、古代のアルバ山は、完全な島ではなく、火山の岬だったのではないかと推測している

海岸線ができた後に隆起したという氏の仮説について、米テキサス州ヒューストンにある月惑星研究所(LPI)の惑星科学者・地球物理学者であるパトリック・マクガバン氏は、「それほどの地殻変動があれば、重力場のデータにかなり大きいシグナルが現れるはずです。けれども、NASAの火星探査衛星が収集したデータでは、それらしきものは確認できません」と話す

マクガバン氏は、ほかの地質学的なプロセスでも、このような崖はできる可能性があると言う一方、この謎が研究されることについては歓迎している
「私には納得できませんが、興味深い仮説です」

将来、オリンポス山の崖から岩石サンプルを採取して放射性年代測定を行うことができれば、オリンポス山の崖がいつ、どのようにしてできたのかが明らかになる可能性がある
現時点では、この領域に衝突した隕石が残したクレーターの数を数えて、間接的に年代を推定するしかない

ヒルデンブランド氏は、未来の火星探査機が岩石サンプルを採取して地球に持ち帰るか、その場で分析できるようになる日を夢見ている
「オリンポス山とアルバ山から採取された岩石サンプルは、火星の海がいつ、どこにあったかを教えてくれることでしょう」

(この記事は、NATIONAL GEOGRAPHIC日本版の記事で作りました)

火星のオリンポス山は海に浮かぶ島だったとの説は興味深いですね

将来、オリンポス山とアルバ山から採取された岩石サンプルが研究されれば、火星の海がどのように形成されたかなどの解明ができるかも・・・

 


宇宙について分かりやすく解説した図鑑
興味をひくコラムなども充実
理解を深めるDVD付き