今年2度目の試写会は『ロード・オブ・ザ・リング』三部作の前章である『ホビット』の映画化第一部。トールキン信者としては絶対に外せない作品を観て来た。

ストーリーは『ロード・オブ・ザ・リング』一作目のビルボの誕生会の準備から始まる。フロドに残すための冒険譚を執筆する、ビルボの回想という展開で物語はスタートする。

感想を一言で言うと、指輪物語好きのための、指輪で描き切れなかった背景が描かれているのが嬉しい作品。原作ではガンダルフがサラッと語っているだけの“白の会議”が裂け谷で開催され、ガラドリエルやサルマンもしっかり登場。『指輪物語』のストーリーを知っているからこそ分かるサルマンの会議の運び方にニンマリしたり、フロド達がサラッと会話していた、ビルボが遭遇するトロルの様子に笑ったり。

第一部での見所は、やっぱりゴラムとビルボの出会いと指輪を手にする展開。『指輪物語』のモリアのシーンでのフロドとガンダルフの会話、滅びの亀裂での顛末を知っているからこそ、ビルボの迷いとゴラムの表情にぐっとくる。

どんなに良作でもホビットは指輪物語を越えられないだろうと観る前から予測は出来たし、その予測は外れていなかったけれど、その後のストーリーを知っているからこその感動は盛り沢山で。アラゴルンやレゴラス、ボロミアには及ばなくてもドワーフの長・トーリンも魅力的に描かれていて。

『指輪物語』の第一部『旅の仲間』より短いはずの原作『ホビット』を三部作にするのは、長さ的に無理があるのではと感じた通り、ゴブリンやオークとの戦闘シーンは、もう少し端折っても良いかなという気もしたけれど、迫力のある数々のシーンも健在。ファンタジーならではの見応えのある内容に仕上がっている。

個人的には『ホビット』公開前に『ロード・オブ・ザ・リング』のリバイバル上映をして貰えたのが(しかもSEE版)一番嬉しかったかも。三部作を一気にみたいので、オールナイト一気上映もして欲しい。バカと言われようと、ミドルアースの世界は本当に大画面で観るのに最適だと思う。