「ふ~ん。じゃあ、親としてはお父さんが間違ってることもある、ってこと?」と少年は言った。
まあね。でも、困ってしまうのは、間違っているか否かを当事者が判定することはとても難しい、ということなんだな。
「勉強しろ!って言うのは間違ってる?」
さあね。君だって、勉強しないよりはした方がいい、とは思うだろ?
「うん...」
とにかく、親が言うことだからって、全て正しいことだと思ってまともに受け止める必要はない、ってことだ。
「でもさ、嫌なもんは嫌なんだ。僕はどうしたらいい?」
そうだね...まあ、躱(かわ)す、んだな..
どんな強烈なパンチだって、当たらなければどうってことないだろ?
「かわす?逃げるってこと?」
いや、違う。
逃げるってのは、ただ闇雲に相手から離れる、距離を取るってことだ。リングから出ちゃうとかさ。
でも、今、君はそのリングから出ることはできないだろ?義務教育だもん。
だから、かわすんだよ。相手との角度を変えたり、しゃがんだり、のけぞったりして。
「え~?具体的にはどうすればいいの?」
例えばさ、「勉強しろ!」って言われたら、君が「そうだよね!そうだよね!勉強しなきゃな~?」とかって言ってみるってのはどうだい?
「...どうなるだろう?効果あるかな?」
そんなことわからないよ。
でもさ、やるか、やらないか悩むんだったら、やってみる方がいいんじゃないか...
<続く>