子供たちはヨシオに勉強する理由を聞いた後、ヨシオの配偶者に同じ質問をした。
「ねえ、ママ、何で勉強しなきゃいけないの?」
ヨシオと配偶者は出身大学こそ同じとは言え、配偶者はヨシオより難易度の高い学部であった。しかもヨシオは一浪に対して配偶者は現役。
いや、その前に、配偶者の志望した大学は、叶わなかったもののT大文一のみ。外国語は仏語で受験している。
勉強、試験については雲泥の差があった。
「はぁ?勉強するのに理由なんて要るの!?登山と同じよ!そこに山があるから登るだけじゃない!山があるんだから登るんでしょ?理由なんか無いじゃない!私は勉強する理由なんて考えたこともないわっ!そもそも何故そんなこと考えるのか、それ自体がわからない。」
うーむ。
目の前に山があっても、登るか、眺めるか、それとも海に行くかは人により違うと思うが...
言うまでもないことだが、ヨシオは黙っていることにした。
それで良かった。