小川洋子氏著『物語の役割』を読んだ。
こんな文章に出会った。
「…たとえば、非常に受け入れがたい困難な現実にぶつかったとき、人間はほとんど無意識のうちに自分の心の形に合うようにその現実をいろいと変形させ、どうにかしてその現実を受け入れようとする。もうそこで一つの物語を作っているわけです。
…そういう意味でいえば、誰でも生きている限りは物語を必要としており、物語に助けられながら、どうにか現実との折り合いをつけているのです」
思わず、うんうんと、頷いてしまう。
他人が見たら小さく思うようなことであれ、とても立ち向かえないくらいに大きなことであれ、日々の暮らしをしていると、必ず何かしらに、ぶつかる。
それでも何とか『折り合いをつける』ために、物語を読む。
そんな物語、綴れたらいいなあ。
まあちょっと、そこまでは、なかなかいけないかもしれないけど。
とりあえず、自分の足元を見て、一歩ずついきますかね。
若し皆さんが、『そんな物語』を書いていたなら、教えてください。
読んでみたい。