お子さま・お孫さま、親戚・友達・お知り合い等、身近に来年18歳(高校3年生)になる子がいる方へ

民法改正により、2022年4月1日以降は満18歳で成人となります。長らく20歳だった成人定義の、140年ぶりの改正です。
この結果、2002年4月2日~2004年4月1日に出生した約200万人が2022年4月1日に一斉に成人となり、かつ同日以降、高校3年生の教室は、誕生日を迎える都度「成人」(「大人」)と未成年者が混在するコミュニティと化します。

「成人」になると、親権者の同意なしに単独で契約の締結が可能となり、未成年者であることを理由とした取消権の行使ができなくなります。

世の中は、新成人を温かく見守ってくださる方ばかりではありません。国民生活センターの発表資料では、「20歳になった途端に契約させられた」とか、「契約時は未成年だったが、日付をブランクにするよう言われ、20歳到達後に契約したことにされた」事例などが報告されています。年齢別相談件数では、成人になりたての方からの相談件数は、未成年者の1.8倍以上にのぼるようです。

学校でも、このような「消費者教育」はされていますが、受験勉強に必死の高校3年生が、どこまで真剣に学んでいるか、悩ましいです。

生徒たちの多くは、SNSの、特に「クチコミ」情報などをもとに行動しています。情報の選別はすれど、ネット情報をそんなに信用していいものか、また、ネットだと周囲の目も行き届きにくいです。

これに対する妙案はありません。いかに本人とのコミュニケーションを良くするかに尽きることになります。

ちなみに、成人年齢引き下げを見据えて、若年者の契約トラブルを防止すべく、2018年に消費者契約法が改正されています。民法上の、公序良俗違反による契約無効や不法行為に基づく損害賠償請求などは、具体的な適用場面が必ずしも明確ではないこともあり、次のような場合に契約者取消権を認めたものです。

(1)消費者の知識および経験を考慮した情報提供の努力義務化(第3条2項)
(2)不安をあおる告知に関する取消権の創設(第4条3項3号)
(3)恋愛感情等を利用した契約に関する取消権の創設(第4条3項4号)

学校教育に加えて、身近な人からも教えてあげれば、より効果的です。「18歳で社会の一員となるのだから、きちんと法律を理解しなさい」は当然のこととして、未来のある若者がトラブルに巻き込まれないように、ぜひお力添え下さい。

(出典:NECファシリティーズからのお役立ちメール<2021年10月5日号>)