なぞってみても | yukiの一人歩き

なぞってみても

7時前、マンション屋上からスマホカメラで。

ミラーレスでも撮ったので、

もう少し写真としてはまともな物があるかも知れないが、

スマホからだと、面倒がないのでつい使ってしまう。

今年の初日の出には、特別な思いもあったので、

屋上には、戒名を書いた色紙を持って行った。

部屋に戻ってからは、日が当たる場所に置いてあげた。

ここからベランダに出て日の出を見るのが常だった。

 

これまでは、全日本駅伝の2区辺りで初詣に出掛けていたが、

今年は駅伝が終わってから15時前のバスで行くことにした。

伊豆山から、二人でヨイショコラショと急坂を上って行ったが、

今年はゆっくりゆっくりと一人で登る。

百数十段の階段は、踊り場の度に小休止しながら上った。

喪中の人間は穢れているから、神社に近寄ってはいけないという

そんな不文律に従うつもりは全くなく、

一人でお参りしてから、歩いて熱海駅に向かった。

ふと、一緒にいるような気がしたが、いるわけはない。

しかし、考えてみると、亡くなったとは言われたけれど、

生きていない妻を私は見ていない。

ひょっとしたら、すっと現れるかもしれない。

 

毎年繰り返してきた決まり事を、

なぞっているけれど、

元と同じようにはならないことは百も承知しているが、

思い出の品物や着物類などは、

もう捨てたり引き取ってもらっている。

共に暮らした家も手放そうとしている。

こうした行動が、未練を切り捨てる道なのだと知っている。

だから、いくら昔をなぞっていても、

何も起こりはしないのだ。

どこかに隠れていた人が現れたりはしない。