こんにちは!棟田です。
ちょっと間が空いてしまいました。すみません。。
ついに、研修が始まりました!スタッフさんが集まって、機械の勉強会があったり、
みんなで備品を購入したりしてくれています。
今まで、箱はできていて、機械が入っても、実感が全然わいていませんでした。
でも、人が中で動きだしたら、俄然楽しくなりました。
(研修風景 キラキラのエフェクトかけてみました)
仕事は全然終わらないんですけどね。。。
やってもやってもやるべきことが増えていく感じがしています。
さて、今日は役立つビタミンの話。
といっても、皆さんが期待する話とは違うかもしれません。
前回も書きましたが、世の中にはサプリメントがあふれているし、みんなサプリメントが大好き。
確かに「これだけ飲めば健康です」というものがあれば心強いですよね。
でも、先に結論から申し上げると、
そんなドラえもんのような、心強い便利なものは世の中にはない、
ということが今日のTake Home Messageです。
(最近は花をみると条件反射のように写真を撮るようになりました)
美容クリニックでは普通、サプリメントが多数扱われています。
今回の日本皮膚科学会でも多数のサプリメントの企業ブースがありました。
私も開業するにあたり、取り扱うサプリを決めよー💛みたいな、気軽な気持ちで調べ始めました。
ところが、調べても、調べても、これは必要だ!というものが見つからない。
むしろ、しっかりしたレベルの論文を読むと、いずれも「●●のサプリメントは有効性が示せなかった」というものばかり。
端的に結論から言うと、
日本人が飲むことに意義が証明されているものはビタミンDだけ。
1か月間3食、パスタの麺しか食べていない人には、いろいろなサプリが必要でしょう。
なぜなら「不足しているものは補充する必要がある」から。
あと、お酒ばかり飲んで、全然ごはんを食べないという人も、サプリメントが必要です。
普通に3食、いろいろなものを食べて、野菜やフルーツを食べていれば、
人間が生きていくのに「不足」とは中々ならないくらい人間の身体は丈夫にできています。
でも、自分が「普通レベルに食べてる」かどうかがよくわからない、という人も多いでしょう。
だからこそ、何か足りないものがあるのでは?足した方がよいのでは?と
疑心暗鬼になって、サプリにお金を費やしてしまうのです。
お金を使って、安心して、それで満足、であれば、特に止めはしません。
でもあくまでも、サプリは「補充」であり、それで急に健康になれるものではありません。
美容をやっているドクターでもビタミンCを内服している方は本当に多い。
むしろ「え?!飲んでないの??」みたいな反応をされます。
ビタミンCを局所に塗ることは、有用性が示されています。
しかし、ビタミンCの内服と美白効果は証明されていません。
「美白」というものは日光など他の影響を受けやすいため、大規模調査ができない、という理由もあります。
美容のために効くことが証明されていないが、なんとなく経験的に長く使われているビタミンCを飲むべきかどうか。
ここに一石投じるものとして、
「女性ではビタミンC内服は肺がんの発生率を上昇させた」という論文があります。
ちょっと難しいのですが、この論文はランダム化試験と呼ばれ、信頼性の高い結果であるといえます。
そこで
「毎日 500 mg のビタミンCを平均9.4年間飲んだ女性では、プラセボの薬を飲んだ女性に比べて、肺がんの発生率が84%増加した」という結論が示されています。
これはまぁ、有意差がこの論文でだされただけなので、イコール真実である、というわけではないのですが、
逆に「ビタミンEもCもベータカロチン(抗酸化物質として有名な3つ)とも、特に癌の発生を抑えたり、寿命を延ばしたりする効果は全くなかった」という結論も同時に出ており、これは他の論文でも、ほぼ共通の結果です。
つまり、ビタミンCは肺がんの可能性をあげるかも?少なくとも良い方向には効く証拠はない。
正直に申し上げて、私も悩むところです。
肝斑の治療といえば「シナール+トランサミン」。「シナトラ」などと略され、日本中で行われている常識なのです。
講演会に行っても、雑誌などで見ても、ほぼ確実にこれはセットとされています。
調べるまでは、私も当然これをセットで出してきました。
この論文は2009年のもので、やや古い。
その後もバンバン同じような報告がでているか、というと、私の調べ得た限りそんなこともありません。
ただ、知っていると知らないとでは大きく違っています。
むやみには出せない。害になる可能性が否定できないから。
肝斑には、私もシナトラをだしますが、ずーっと飲みましょうということはありません。
しばらく内服して、評価して、不要なら辞めて、必要なら続けるが、また必ず評価する。
誰にでもビタミンCを勧めるということもありません。
必要な人は飲んで、必要なくなったらやめる。
まぁ当たり前のこととも言えますが、当院ではそのような方針です。
有効性を示すというのは、実は本当に難しいことなんですよね。
論文で示されていないからすべてを否定するというのも頑なすぎる気もします。
なぜなら新しいものや高価なものは「ランダム化試験を大規模にする」など到底不可能ですし、時間がかかります。
なので、ある程度理論上正しそうなもの、小規模であっても質の高い研究なものであれば、
必ず私が実践して、当院で採用するサプリは決めていきます。
少し時間がかかるかもしれませんが、
「私の皮膚科」を選んでくれた方の健康を守り、より良いものをご提案するため、
焦らず気長に、宜しくお願い致します。
ちなみに健康になりたいを端的に実践するなら、「地中海料理」というのも、予防医学会の常識です。
また近いうちに地中海料理とビタミンDについて書きますね。
とりあえずオリーブオイルをご用意してお待ちください
また長くなりすぎました。
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