美容室の廃業が多い。一人ひとりの収入が低い。。。
美容業界においてこのような問題は、長らく続いています。
複合的な理由があると思いますが、最初にもいつくのは「供給過剰」です。
供給過剰になれば「熾烈な価格競争」が生まれるため、顧客一人あたりの利益が下がり、美容師の給与も下がります。
利益がとりにくい、
給与は下がる、、
人がやめていく、、、
美容室は潰れます。
カリスマ美容ブームにより、急激に増えた世代の美容師が40代中盤になり、独立・出店のピークになりました。
ライバル店がひしめく中で、無策な低価格競争が悲劇を拡大しているように感じます。
今回は、値付けの考え方を少し違った角度から考えます。
【結論から】
価格さえ下げれば集客ができる、、このように大きな誤解をしている美容師が多い。
薄利多売になればなるほど、経営の難易度は上がると感じる。
むしろ付加価のビジネスの方がよっぽ難易度は低い。
技術職ゆえ、技術の巧拙(上手い下手)が「価格決定の理由」と誤解している。
巧拙と価格設定は全く違うところに存在する。
重要なのは、技術の巧拙と価格設定は全く違うと切り分け、営業力(提案力)を身につけられるかである。
【誰でもできる低価格戦略】
お客様と話していると「あそこにまた、美容室ができたわよ」と言われることが非常に多いです。
同じ美容師でも「まだ、美容室って新規オープンするんだ」と感心します。
2019年の新規出店数は、およそ14,000件。
2019年では倒産119件、閉店はおよそ数千店舗と言われるデータが出ています。(東京商工リサーチによる)
出店件数は未だ上昇しているようで8年連続の増加になっています。
美容室の件数が増えると必ず出てくる施策が「低価格競争」です。
集客を考えると一番最初に出てくるアイデア、それは「価格を安く」することです。
隣がカットカラー¥10,000なら、うちは¥8,000。
あそこがカットカラー¥8,000なら、こっちは「トリートメントつけて¥8,000」とこんな感じになります。
簡単に格安美容室の出来上がりです。
このような戦略は誰でも考えつきます。
悪いことではないのですが、その影響を考えると良いとも言えません。
【美容師の仕事を考えればわかる】
低価格は悪手とまでは言えません。
しかし、無策に手を出すとその後の影響が大きく出ます。
その一つが「美容師の給与」の問題です。
美容師の仕事を考えると「時間」が重要になります。
美容師一人の稼働時間はアッパーがあり、価格を落とすと給与が下がります。
美容師の給与体系は、売り上げの〇〇%のバックをもらう。。。このようになっています。価格を下げると給与が下がります。そうなると現場の美容師は「こなす」ことを考えます。
サービス提供の質は下がり、
アシスタントへの「依存」は度を超えて、、
最終的には再来率を落とし目先の売り上げも上がらず、重要なLTVも逃します。
価格を下げるだけの戦略は、事業自体をシュリンク(縮小)させてしまうことが明確に理解できます。
【低価格の戦略は実は難しい】
集客を考えると「価格を下げる」ことは、比較的簡単に発想できます。
しかし、経営や会計などの知見がなければ、経営状態すら揺るがす大きな意思決定に
なることに気がつけません。
単価が下がる
①一人当たりの原材料費の比率が上がる
②原材料費の比率が上がると一人当たりの利益が下がる
③粗利益が下がる
④固定費率が高くなり、利益を確保できない
⑤利益が下がるので美容師の給与が下がる
⑥給与が下がるので客数をこなすことへの優先順位が高まる
⑦詰め込む予約による「質」の低下
⑧質の低下は、サービス提供とサロンの働く環境の低下に繋がる
⑨働く環境が低下し人が辞める
⑩美容室の経営がままならなくなる
ネガティブなことだけを挙げていますが、おおよそのシナリオです。
低価格の戦略は実は難易度の高い経営判断だと感じます。
なぜならば、、、
逆の視点で説明します。
低価格の逆は「付加価値サービス」の戦略と位置付けます。
つまり、提供するサービス(美容室で行うカットなど)にさらに特別な価値をプラスすることです。
こうすることでライバル店を無効にすることができます。
つまり他のサロンにはないことを提供するからです。
機能や価格で差をつける差別化ではなく、他には無い区別化をすることになります。
ライバル店がないのですから、戦略としては難易度が低いわけです。
ライバルに勝ち抜く戦略の方が、難易度は高いと感じます。
付加価値の方が難易度が高いと感じているかたがいますが、そもそも付加価値サービスを見つけられない時点で、勉強・実力不足です。
そんな経営者が「低価格の戦略」を行なっては、無策な試みとして失敗することになります。
利益が下がる中で、それを補う集客・マーケティング・再来させるオペレーション。。。この精度を高める方がよほど難しいと感じます。
【簡単に流れるな】
周りにライバル店が出てきたから、
集客がしたいから、、
売り上げを上げたいから、、、
ここから一番ラクな方法は「価格を下げる」です。
簡単な方へ流れてしまいます。
高い価格ゆえ、顧客の高い期待値・満足度を超える難しい課題から逃げてしまいます。失客の心配をして、同様に価格を下げている方がラクですから。
また、顧客への高い価格の交渉から逃げ、簡単な値引きに逃げることは誰でも可能でうす。
難しい課題から逃げ、簡単な課題・解決に手を出しがちです。
そこから価格を上げることはさらに難しくなります。
ここでも低価格は難易度が高いことが理解できますね。
【技術の巧拙が価格につながる勘違い】
美容師の多くが「技術の巧拙が価格を決める」と勘違いしています。
技術力がある方が「単価が高い」と考え、技術の未熟な技術者は「価格を低く」と考えがちです。
これは全くの勘違いです。
そもそも「誰が技術力を決める」かの問いを間違えています。
技術力は「顧客」が決めるわけです。
美容師同士で決めることは一切ありません。
ガイド通りにカットができるから「価格が高い???」のでしょうか。
全くの認識違いです。
価格に対してサービス提供は「顧客」が決めます。
その価格以上の満足があるか。。。が重要です。技術力は一部でしかありません。
技術職の勘違いです。
職人のプライドのような無駄が感じられます。
【技術力と価格は無関係】
ここで明確に説明しておきます。
「技術力と価格は無関係」です。
「商品力と価格は無関係」です。
まずはここの認識を一致できるといいです。
では価格と関係しているものは、、、
「交渉力」です。つまり「提案力」です。
提案力がないことを「技術力不足」と勘違いしています。
問題に対しての分析が誤っているので「解決」されることはありません。
売れないサロンほど「技術が悪い」と結論づけています。
売れない経営者ほど「スタッフが下手」と勘違いしています。
売れない理由ば「交渉力」、つまり「提案力」が低いからです。
売れない=技術力 と勘違いしているサロンのスタッフは「自分に自信がない」ので弱気です。
プラスワンメニューや高単価のメニューを提案することに弱気です。
技術力がないから売れない。。。
こんな思考でいます。
さらに深刻になれば、値引きの交渉だけはできるようになります。
つまり「値下げ」や「割引サービス」の思考です。
【提案力を上げるなら】
提案力を上げるのは「聴くこと」です。
ここは今回の内容とズレるのでこれだけにしておきます。
聴く力やカウンセリングに役立つ本を紹介しておきます。
プリンセス・マーケティング 「女性」の購買意欲をかき立てる7つの大原則
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トップ美容業コンサルタントが教える驚異のカウンセリング会話術
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【ダメな経営者ほど】
技術力と価格を関係していると勘違いしている経営者は、交渉力(提案力)の向上にスピード感ある改善を行いません。
そこで、売り上げが増えないから「価格を下げて集客」を試みます。
予約が入るようになり、スタッフを増やします。
ただ、利益は出ないので「美容師の給与(報酬)が低いまま」です。
売れないのは技術力よりも「提案力」の問題であると気が付くべきだと感じます。
低価格(薄利多売)の商売は、いつの間にか完成されていきます。
利益を確保できず、経営は苦しくなります。
気が付かないうちに「低価格戦略」のサロンになっています。
それは技術力=価格。集客=値引き という多いなる勘違いから生まれます。
価格は提案力です。
技術とは異なる場所に存在しています。
【まとめると】
価格さえ下げれば集客ができる、、このように大きな誤解をしている美容師が多い。
薄利多売になればなるほど、経営の難易度は上がると感じる。
むしろ付加価のビジネスの方がよっぽ難易度は低い。
技術職ゆえ、技術の巧拙(上手い下手)が「価格決定の理由」と誤解している。
巧拙と価格設定は全く違うところに存在する。
重要なのは、技術の巧拙と価格設定は全く違うと切り分け、営業力(提案力)を身につけられるかである。
みんなの日常のヒントになれば。
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