ある日同じ村に住むとしおから電話があった。
「鹿肉あるけど、いる?!(としお)」
「いるいる!(俺)」
「まるまる1頭だけどね(としお)」
「.........?!」
またかぁ〜!!
天の捌き(裁き)は突然やってくる!
時計を見るともう18時をまわっている。
これから捌き始めるとおそらく夜中まで掛かりそうだ。
次の日は新月で家族で朝早くから森に行こうと約束していた。
どうしようか一瞬迷ったけど、なぜだか心の奥からわくわくがこみ上げてくる。
今回2ヶ月半日本をまわり、みんな来るべく時代を見越して国や大きな組織に頼らずとも生きていけるように田んぼや畑とそれぞれの場所でもう動き始めていた。
屋久島だと海に潜れば魚は突けるし、食べられる山菜はたくさんある。
そしていのちの恵みを戴いて何でも捌けるようになりたいと思っていた矢先にこのチャンスが巡ってきた。
覚悟を決め、頭でごちゃごちゃ考えずまずはやってみよう。
アフリカでも何度かヤギを絞めるのはやったことがあったし、屋久島に来てからも友達に手伝ってもらいながらやったことはある。
ただ1から一人でやるのは初めてのことだったので興奮していた。
木に吊るし捌き始めると愛虹香が学校から帰ってきた。
僕たちは基本は菜食中心だけど、まわってきたお肉は有り難く戴くようにしている。
基本魚とお肉、そしてお米は出来る限り自分たちで自給していこうと思っている。
愛虹香にも物としての肉や魚ではなく僕たちは生きているいのちを戴いて生かされているということを頭ではなく体感を通して知ってほしいと思っていた。
頭で知っていることと体感を通して心に刻まれた記憶は天と地ほどの差があると僕は思っている。
しかし愛虹香は嫌がるどころかナイフを渡すと楽しそうに見様見真似で捌き始めた。
結局愛虹香と二人夜11時までやり続けた。
娘とこういうことをする機会を戴けたことが本当に有り難かった。
俺は、ほんとは子供とずっとこういうことがしたかったんだ〜って思い出した。
天から戴いたいのち
骨の髄まで無駄なく戴きこの肉体を通して地球に循環させる、皮はなめしてメディスンドラムを作り音として天へと昇華させよう。
僕らはあらゆるいのちを糧に生かされている。
ありがとう太陽
ありがとう地球
ありがとう愛する人たち
すべてのいのちに心から感謝します。
心と体が強くなりますように....
すべての繋がるものたちにありがとう