デビュー作を探して 新刊情報 | 渡辺やよいの楽園

渡辺やよいの楽園

小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

 連休中はほぼ仕事だったが、受験生の息子はともかく、娘が可哀想なので、少しは出かけようかと考えた。 

 先日、江戸川橋の現代マンガ図書館へ行ってきた。 
 個人の蔵書ながら、古いマンガ雑誌がたくさん保管されているからだ。
 デビュー35年。気持ちを新たにするつもりで、自分のデビュー作をもう一度読みたかったのだ。
 だがもう何度も引っ越しして、手元には少女マンガ時代の私の作品は一つもないのだ。
 国会図書館は連休は休みなので、開館している現代マンガ図書館で探そうと思ったのだ。
 
 マンガの好きな娘を伴い、出かけた。
 小さなビルの2階のその図書館はこじんまりとしていて、読みたい雑誌や漫画は申し込みして、保管庫から出してもらう仕組みだ。データはすべて手書きの目録である。
 そこから雑誌名と年月で当該の雑誌を探した。なんと、発見!雑誌閲覧を申し込み、出されてきた黄ばんだ古い雑誌に、確かに私のデビュー作が載っていた。
 十代の作品。いやはや、熱気は感じられるもののあまりの若書きに、冷や汗が出た。
 しかも、わずか16ページの作品がこれがまた、異色作。
 当時可愛い学園恋愛マンガが全盛の時代、アメリカンムービーに影響されたような話、全く可愛くない絵柄。なにより、ストーリーのぶっ飛びぐあい。
 最初の1ページ目から、ヒロインは妊婦である。
 非処女どころか、すでに妊婦!
 今の少女マンガにもあり得ない設定ではないのか?
 しかもヒーローが童貞とかつぶやいているし。。。
 この話のオチは、童貞君が捨てられた妊婦少女を愛して受け入れる、という凄まじいものである。十代の私の頭の中がわからん。少女マンガだぜ。
 私の原点は、やっぱりエロだったんだわ。
 しかし、こんな話よく当時の編集が載せてくれたものだ。なんつーか、早すぎた吉田秋生って感じだ。彼女が出てくるのは5年後くらいで、当時これを読んだ少女たちも、さぞや目を丸くしたろうな。
 でも、この作品を載せてもらえたおかげで、私はその後今日まで漫画家として生きてこれたのだ。
 改めて当時の編集さんに感謝する。

 とりあえず目当ての作品を探し当て、複写もしてもらい、目的を遂げた私と娘が意気揚々?とビルから出てくると、いきなり男性に声をかけられた。
「あの、今現代マンガ図書館から出てこられました?」
 ちょっとわかりにくいビルなので、図書館を探してきた人だろうと、「ええ」と、答えると、その男性はほっとしたように
「実は私はTBSのもので、こどもの日特集に、親子で行く穴場スポットみたいなテーマで、この図書館を選んだんですが、この二日ずっと待っていたけれど親子連れは全く来なくて、あきらめてスカイツリーの取材をしていたら、図書館の人が今親子連れが来ましたよ、と連絡くれたので、スカイツリーから全速力で走ってきたんです。間に合ってよかった」
 ということで、彼は汗ダラダラだった。
 んで、私らはもう一度図書館に戻り、取材を受けるはめに。
 私が漫画家で自分の35年前のデビュー作を探しに来たのだというと、ものすごく食いついてきた。どうせ名前も顔もでないというので、インタビューに答えた。
 私はテレビや取材に慣れているが、娘は内気なので消え入りそうな小さい声で答えていた。
 かくして、ちょっとコネタな体験もした。

 しかし、自分のデビュー作を娘に読まれるのって、かなり自虐的な行為だったな。
 帰宅したら、息子が意地悪して私のデビュー作を声を出して読んだので、羞恥に死にかけたのであった。 彼は何度目かの引っ越しの際に、私の高校時代の秘密のポエムノートを見つけて読んだこともあり、私の黒歴史の生き証人である。

 画像はデビュー作と、レディコミ時代のマンガ(裸でないシーンが少なくて難儀したw)

 




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 渡辺やよい初の、乙女系小説です。
 リブレ出版 乙蜜ミルキィ文庫 「淫惑の華 三都艶情」です。
 東京、香港、ロンドンを舞台に、美しく一途なヒロインを巡る、三人のイイ男たち。
 そりゃもう、エロティックでドラマティックで感動必至!
 挿絵はDUO BRAND.先生。これがまた美麗で艶っぽいイラストで、素晴らしいのです!
 男三人が表紙にいるので、左下の黒髪の彼にタイトルが被ってしまいましたが、彼は長くて艶やかな黒髪してます。





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