おひな様 | 渡辺やよいの楽園

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小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

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 毎年、だそう出そうと思っていて多忙にまぎれて出しそびれていたおひな様。
 今年はきちんと飾って上げる。
 このおひな様は、私の祖母が手作りしてくれたものだ。
 父方の祖母は、戦争未亡人←いやはやレトロな言葉 で、女手ひとつで息子3人を育て上げた人だ。
 和裁と洋裁の先生をしていて、私たち孫にもよく手縫いの服を作ってくれた。
 隣町の祖母の離れに在る仕事場に行くと、沢山の布の端切れがあって、子どもにはそれが楽しくて、よく遊びに行った。
 そんな祖母の手作りなので、実にきれいに良く出来ていて、貰い受けて娘のために飾っていたのだが、ある日、息子が幼いとき、友達と我が家でかくれんぼをして、納戸に入り込んだ子が、おひな様の入った箱を踏み抜いてしまい、見事に?おひな様の首が取れてしまった。無惨。(この時の騒動を、以前ブログに書いたら『首の取れた人形の写真なんか気持ち悪い』とのコメントを書かれてしまった。まあ、そうかもしれないが。そもそも私のブログには、一般受けしない写真が多いのは事実なので、心してください)
 あれこれ考えて、結局和人形の老舗に連絡したら、快く修理してくれた。 
 で、かれこれもう50年前に誕生した我が家のおひな様は、変わらない可憐さで、桃の節句を過ごすのだ。
 世界にひとつだけのおひな様。