トム・ソーヤかのびた君か | 渡辺やよいの楽園

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小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

平助、牛太郎
 
平助と牛太郎、 ほぼ、同じ大きさになってしまった。平助のまぬけな顔が。。。。

店
 
息子。
去年も参加した、プレーパークのこども商店街、今年も参加するとはりきっている。
このこども商店街は、企画運営建築販売すべてこどもたちだけで行い、大人はいっさい口出しも手出しもしてはいけないルール。売り上げは一部プレーパークに納めた残りは、すべて自分の儲けとなるのが魅力だ。

息子は去年は初参加で、しかも一人。
その時は、店づくりの柱を埋め込むところから四苦八苦で、母もはらはら見守るばかり。出し物も、ホットケーキポップコーンカルメ焼き手作りはにわ売り、とよくばって、当日てんてこまいだった。実は赤字だった(すべて10円!)のだが、手にした幾ばくかの稼ぎは、とても魅力的だったようだ。
今年も一人で参加。
メニューは、当日配膳するだけで出せるカレーうどんにし、人気のカルメ焼きと手作りはにわ売りは残した。
くじ引きで割り当てられた店鋪スペースに、息子は廃材の竹を使って風林火山ばりの要塞のような店を作っていく。

去年、「もうできないー」と、泣きべそをかいていた時から格段にシャベルも金づちものこぎりの使い方も上手になり、まっさらの地面にみるみる店が建っていく。
店

ところが、あと一歩で完成というところで、組みが甘かったせいか、どどっと崩壊してしまい、店は全壊。
私が差し入れに行った時、まさに崩れ落ちた直後で、竹の枝の山の中に、息子が呆然と埋まっていた。
「だ、だいじょうぶ?」私も呆然とする。
しかし、息子、「だいじょうぶ、すぐなおせるさ」と、もくもくと竹を拾い集め出す。
「だいじょうぶ?」と、しつこく心配する母をよそに、息子はいちから組み立てていく。
その日は、とっぷり日が暮れるまで帰宅せず、泥だらけで帰ってくると
「なおした」と。
ところが、その夜、突風と大雨。
私はおろおろ夜空を見上げる。
この天気で、ふたたび店が倒壊していたら…と、息子以上にやきもきする。
翌朝、犬の散歩をかねて、私はプレーパークに店の様子を見に行く。
あった。
息子の竹の店は、ちゃんと建っていた。
竹の店

ほっとする。
そして、息子の成長に喜びをかくせない母であった。

しかし、その前の晩、息子が出した漢字のテスト。
100点中10点。
「おまえはのびたか!」期せずして、父と母は合唱してしまう。
「だって、ひらかなで書けるのに、漢字って書くとこが多くてめんどくさいんだよー」と、口をとがらせる息子。
ううう

トム・ソーヤかのびた君か。

このままでいいのか。
このままでいいのだ。
でも、このままでいいのか。
母親ってのは、心配の種がつきないものだ。