自転車 | 渡辺やよいの楽園

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小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。

自転車、右乗りである。
左からは乗れない。押して歩く時も右側で支えないとうまくいかない。
しかし、今頃お気づきかとお思いでしょうが、自転車は左から乗るのが普通だったのですね!
自分がマイナーだと知ったのは郵便局においてであった。
郵便局の前に自転車を止めて、用事をすませて出てくると、郵便局の警備員が自転車を乗れるばかりにして支えて待っていてくれたのだが、彼は右側に立っている、開いているのが左側、
「すいません、私、こちらから乗るんです」と、いうと
「え?それは珍しい」と、言われてしまった。
そういえば、よくよく世間を見ると、左から乗る人が多い。
これは、なにかしら右利きとか左利きとかに関係あるのだろうか?ちなみに私は潜在的左利きである。幼い頃矯正されて、おおよそのことは右でやるのだが、コインを入れたり切符を取ったり細かい作業は左だ。

で、それはべつにいいのだが、なにがいやって、今の自転車は、スタンドを立てると自動的にストッパーがかかってしまい、それが左側なのだ。いつもさあ乗り出そう、というとき、いちいち左に回ってストッパーをけって、右に回って乗り込むのがほんとうにめんどくさい。特に、子供を乗せているときは、左に回ってストッパーを蹴ってから右に回るときが、子供の重さがあるので実に不安定で恐ろしく、しょうがないので右側で自転車を支えながら片手でストッパーを無理矢理ひっぱたりする。爪をはがしたことがある。

しかし、先日、とある小学校の集まりで、一人のお母さんと一緒に二人で並んで自転車を押しながら帰ったのだが、突然、私の左側にいたお母さんが
「ごめんなさい、自転車押しにくくない?」と、聞いてきた。
「え?どうして?」
と、言うと
「私、右乗りなので、つい、左側にきちゃうんだけど、あなたが押しにくいんじゃないかと」と、いうので、
「あ、私も右乗りだよ」と、いうと、
「あー、うれしい、右乗りって、あんまりいないんだよね」と、喜ぶ。
「そうなんだよー左についてるストッパーが不愉快でさー」
にわかに盛り上がる会話。
妙なところで、自転車右乗り同盟が、できたのである。