ヤマト運輸がカタログやチラシなど小型荷物の配達を委託する個人事業主約3万人との契約を2024年度末までに終了する方針を打ち出した。

3万人は大きな数字だ。私はこのニュースを見てすぐに「ワタミとして、この方たちを受け入れられる」と思い、最大2000人を「ワタミの宅食」の配達スタッフとして受け入れる支援体制を構築し、14日の決算会見で発表した。

残業規制厳格化の「2024年問題」が物流業界の課題となる中、メール便は日本郵便が強く、もうからないとも言われており、ヤマト運輸の経営判断は理解できる。

しかし、配達員の多くが高齢者だと聞く。一般的に男性の60歳以上の再雇用は難しい。社会全体で救うべきだ。

ワタミの宅食は、60歳以上の高齢の方が多く活躍しており大歓迎だ。単純比較だが、1件あたりのお届け手数料は、報道されているヤマト運輸のメール便よりワタミの宅食のお弁当の方が高い設定になっている。時間も1日何件といった決まりはなく、自分のペースで働ける。

ただ、お金や時間の部分よりも理念や思いを伝えるため、配達員さん向けに私のビデオレターを作成した。ワタミの宅食の配達スタッフは、まごころさんと呼ばれ、お弁当を配るだけではなく、まごころも一緒に届けている。手渡しのお弁当は、何よりお客さまが楽しみに待っていてくれる。

毎日「ありがとう」と声をかけてもらえる、とてもやりがいのある仕事だ。お届けの際に、高齢のお客さまの体調不良を発見して、命を救い多くの感謝状も頂いている。SDGs(持続可能な開発目標)で掲げている「住み続けられる街づくり」の一翼を担う社会に役立つ仕事でもある。

今回の支援表明は「高齢化社会」「地方の過疎化」「孤独死」「定年後の働き方」などの多くの社会問題の解決策を提案している。

人は、誰かの役に立つことで輝くものである。ビデオレターでも「みなさんの経験をワタミグループに貸していただきたい」と伝えた。

ワタミの宅食は拡大し続けている。配達スタッフが増えれば配達エリアを拡大できる。ヤマト運輸時代の配達エリアでそのまま働けることを基本としている。興味のある方は、ぜひワタミのホームページから問い合わせていただきたい。

私はワタミ創業の資本金をためるため、佐川急便で1年間セールスドライバーをしていた。ドライバーの方々の大変な思いを誰よりも理解している。だから今回の支援表明にも熱が入る。ぜひヤマト運輸で契約終了される方々には、ワタミでまだまだ輝いていただきたい。

 



【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より