弾道ミサイルの発射を続ける北朝鮮や、台湾への圧力を強めている中国の脅威が迫る中、日本の防衛力強化が喫緊の課題となっている。しかし、防衛費増額に充てる増税開始時期について自民党税制調査会の非公式幹部会合が「2025年以降」と先送りを決めた。

この件について、私が授業を受け持つ郁文館中学「iPクラス」の生徒たちに、これは来年までに衆院選を行い、増税はその後にしたいという選挙対策だろうと「大人の事情」を解説した。

マイナンバーカード問題などの影響で内閣支持率が下落していることもあり、岸田文雄首相としては増税を打ち出しにくいのかもしれない。しかし、国民や国全体のことを考えれば、増税は避けて通れない道。きちんと説明して国民の理解を求めるべきだ。

ただし、増税をお願いするのであれば政治家側の真剣さが問われるだろう。例えば国会議員に月額100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)だ。使途公開や未使用分の国庫返納を義務付ける法改正が今年の通常国会では実現しなかった。個人事業主にはインボイスを適用し、国会議員は領収書も不要という理屈は通らない。このような姿勢では、国民からの支持など到底得られない。

私のいちばん売れた本「夢に日付を!」は、「いつまでに」という「日付」を入れなければ、夢は実現しないと解説した本だ。ワタミの役員会でもさまざまなプロジェクトが進行しているが、「いつまで」にと必ず「日付」が入っている。しかも、ギリギリ達成できるところに、その目標を定めることで、人も組織も成長する。

同じことはダイエットにも言える。まずはいつまでに達成するか、日付を決めること。そうすれば、日々のカロリー管理や運動など、今の自分のやるべきことが自然と見えてくる。

そんな中、ワタミの宅食がダイエットを意識する人をターゲットにした「SMART PLATE(スマート・プレート)」を発売した。管理栄養士がバランスを考えたお弁当を自宅まで届ける商品だ。お弁当は500キロカロリーに抑えられており、健康的においしくダイエットができる。

これまで高齢者向けだったワタミの宅食だが、新ブランドでは、現役世代向けの商品を提供することで、マーケットを拡大していく。この商品で、「1日1食ダイエットの軸」を作っていただき、それを習慣化させることを応援したい。

人は習慣や日付がないと楽な方に流されるものだ。私自身の体重は68キロで、20歳のころから変わっていない。1キロ体重が増えたら、翌日必ず1キロ落とす。先送りは絶対にしない。

本来、国も1億円支出が増えたら、1億円何かを削るべきだ。国債(借金)という先送りでは、問題は何も解決しない。この国は、歳出も借金もあきらかにメタボだ。



【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より