ワタミは日本経済新聞社が主催する「日経SDGs経営調査2022」で、外食業界で1位となる星3・5個に認定された。同調査は全国の上場企業と、有力非上場企業を対象とし、企業の「SDGs戦略・経済価値」「社会価値」「環境価値」「ガバナンス」の4分野において、総合的に企業を評価するものだ。

なかでも外食企業は、金融系などの業界と違い、事業拠点も多く従業員数も多く、構造的に星を獲得することが難しい中での評価だ。個別でみると、環境方針で昨年の51点から67点と評価を上げており、「ワタミ環境宣言」や、温暖化、ガス、脱炭素でも「RE100」への取り組みが評価され、消費電力でも自然エネルギーの購入比率が上がったことも大きくプラスになった。

宅食は「いつまでも住み続けられる街づくり」、有機農業は「作る責任、使う責任」と、SDGsの重要課題に直結した、社会課題を解決しながらの事業を展開していることが大きい。SDGsが盛んに叫ばれるはるか前から、ワタミはこうした取り組みを「理念」としてきた。

私は参院議員を卒業する際、「これからはSDGs経営で、目の前の現実を変えていきます」。そう挨拶した。経営復帰後すぐに、社内に「SDGs会議」を設置した。RE100のほか、有機食材、リサイクルなどのタスクフォースを構成し、それぞれに明確なKPI(目標)を設定し、毎月その進捗を責任者が発表する。目標にズレが生ずれば、解決、改善を重ねている。社内横断プロジェクトで効果的に横串を差す目的も果たしている。

ワタミは毎年、「環境レポート」を作成し、現実の把握と、未来への取り組みを明確にしている。関心がある方はぜひワタミのホームページからご覧頂きたい。とりわけSDGs経営は、CSR(企業の社会的責任)から、CSV(共有価値の創造)の意味合いを持つ。利益を上げ寄付や社会貢献をするだけでは面白みがなく、いつ限界が来るかもわからない。

社会問題を解決しながら収益を上げるビジネスモデルに今は専心している。それこそ持続可能な形だと思っている。政治は、税と法律で社会を変えるが、経営はモデルで社会を変えていく。再生可能エネルギーを使った循環型六次産業「ワタミモデル」を世界に広げていきたい。私が参院議員を退任し、SDGs経営で外食業界1位になるまでの期間は3年だ。日本はこの3年で何が変わっただろうか。

先ほど紹介した社内会議のように、政府も政策にKPIを設置して、責任者を明確にして、目標にズレがあれば、解決、改善を重ねれば、現実は必ず変わる。今回の29兆円の補正予算も問題だらけだ、と感じている。事前に目的が議論されない予備費も多すぎる。税源の大半は赤字国債であり、こうした国家経営はまったく「持続可能」ではない。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より