『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)の著者で、精神科医の和田秀樹さんとニッポン放送で対談した。人生100年時代といわれるが、和田さんは、健康寿命は男性72歳、女性75歳だとして「健康寿命をのばしていかないと寿命が延びても辛い」と話す。

身体も脳も使わなくなった瞬間に衰える。健康維持のためには、とにかく何事も「引退」してはいけないという。「やりたいと思ったことを続ける」「意欲」を維持することが重要だという。政策として「働きたい人が働き続けられる」ようにすべきだと提言する。私も共感した。

税収や社会保障費といった財政的にも、高齢者が働き続けられる社会は理にかなっている。約7000人の、ワタミの宅食のお弁当配達スタッフは、定年退職をされた高齢者が中心だ。1日、2~3時間でも仕事をしていることは、何より「現役の証」だ。責任感や、感謝されるといったことで「生きがい」が生まれる。私自身も、仕事で経験する楽しさと成長は「人生で一番尊いもの」だと感じている。

高齢者の運転免許返納についても和田さんは問題提起する。「高齢者が事故を起こすと、大きなニュースになるが、統計上、24歳までの方が高齢者より事故が多い。高齢者の死亡事故の特色は単独事故が多いので、人をはねているのは18%、他の年代は40%程度なので、高齢者が高いわけでもない」とし、「運転免許は返納しなくてもいい」と提言する。

和田さんの見解で特に注目すべきは、食生活でタンパク質の重要性を説き「肉を食べる習慣が『老い』を遠ざける」と強調される点だ。コレステロールを心配することにも誤解があるという。「動脈硬化予防には悪いが、免疫細胞の材料や、男性ホルモンも女性ホルモンもコレステロールから作られる。世界中の統計でコレステロールが、やや高めの人の方が長生きしている。

手っ取り早いのが肉で、焼肉はいろんな種類の肉が食べられるのが特に良い」という。高齢化時代、焼肉の和民を展開するワタミにとって朗報だ。

たしかに、「ワタミの介護」の老人ホームを展開していたころも、肉をよく食べていた高齢者の方が、長生きしていたのを思い出す。

私も「健康の秘訣(ひけつ)」をよく聞かれるが、健康法は、「食べ過ぎない」「飲み過ぎない」「仕事も遊びもし過ぎない」何事も「過ぎない」ことだ。起業以降、体重は1キロも増えていない。

食事と運動でコントロールしている。ワタミでは、健康に配慮した新商品にも力を入れている。冷凍惣菜「ワタミの宅食ダイレクト」では低糖質の「ロカボリック」商品を新発売した。おいしく、楽しく糖質制限ダイエットが楽しめる。ワタミは「健康優良法人」の認定を受けているが、私自身が何より健康で企業の顔であり続けたい。

【夕刊フジ】「渡邉美樹経営者目線」(毎週火曜日連載)より